優しい仕組みで大人もこどもも笑顔になるお店を発見!昼は駄菓子屋、夜は酒場に大変身!

優しい仕組みで大人もこどもも笑顔になるお店!

毎週月~金曜日ゆうがた5時30分から放送している奈良テレビの「ゆうドキッ!」では「ここナラええやん」と題して、笑福亭鉄瓶が「ここやったら行ってみてもええやんかぁ」と思うオススメスポットを独自の目線で紹介します!

※この記事は10月6日(金)に放送された内容です。

前回に引き続き、今回も鉄瓶さんと近鉄生駒駅前を歩いていきます。

今回は近鉄生駒駅から約100メートルほど。気になる看板を発見しました。ただの駄菓子屋ではなく「まほうのだがしや チロル堂」と書かれた看板に引き寄せられてお店へ。

かわいい黄色ののれんがかかったお店の中に入ると、スタッフの山本志織さんが出迎えてくれました。早速気になっていたことを聞いてみます。

鉄瓶さん

「チロル堂が駄菓子屋っていうのは入ったらわかるんですけど、『まほうのだがしや』っていうのはどういうことですか?」

スタッフ・山本さん

「店内にガチャガチャがありまして、来てくれた子どもたちがまずここに100円玉を入れて回すんです。この中には店内で使える通貨が入っています。」

ガチャガチャの玉の中にはチロル堂の刻印が入った木札が入っています。これが店内通貨の「チロル札」で、単位はチロル。

ガチャガチャの中にはランダムで1~3枚のチロル札が入っています。

この木札を使うことで、こどもたちは店内でお買い物ができます。しかし、買えるのは駄菓子だけではないようで…。

鉄瓶さん

「チロル札1枚で100円の駄菓子を買えるけど、300円のポテトフライも買えるし、500円のカレーも食べられるの?」

スタッフ・山本さん

「そこが魔法なんです。」

なんとも面白い仕組みです。店内には懐かしの駄菓子に、こどもたちが木札で買い物するときにわかりやすいように10円刻みで価格設定されています。

しかし、チロル札は1枚100円。例えば、今日の買い物は10円の駄菓子2つだけでいい、という子はどうするのでしょう?

スタッフ・山本さん

「お釣りがでないので、こどもたちも頭を使って別の方法で考えています。駄菓子は現金で買って、チロル札はカレーやポテトフライを買うことに回す子のほうが多いです。」

なるほど、みんな考えて賢く使っているようです。

鉄瓶さん

「夕方、塾や学校から帰ってくるこどもたちはだいたいいつも何人くらい来るんですか?」

スタッフ・山本さん

「多い時はほんとうに200~300人ぐらい来るときもあるんです。お休みの時とか。」

しかし、100円のチロル札で500円のカレーが食べられるように、こどもたちは100円さえあれば100円以上の価値のものを食べることができる。そんなチロル堂の仕組みを支える裏側が気になります。

スタッフ・山本さん

「大人からの寄付というのがあって、大人もランチをここで食べていただけるんです。」

お店の奥を覗くと、カウンター席をはじめとした飲食ができるスペースがありました。実は駄菓子屋だけではなく、大人には大人用のスパイスカレーなどのメニューも用意している飲食店でもあります。

鉄瓶さん

「大人の料金から少しこちらのこどもへ…うまいことなってるなあ、これ。」

よくできた仕組みに関心した鉄瓶さんはお店の奥へ。大人がお店の中で食べられるメニューはどんなものがあるのでしょうか?

出てきたのは「海南亭の牛すじ丼」です。

鉄瓶さん

「ちょっと待ってください、海南亭って言ったら大阪で有名な焼肉屋さんでしょう?」

スタッフ・山本さん

「はい、鶴橋にあるおいしい焼肉屋さんです。そこで牛すじの部分は使わないのでそれをこちらのお店にチロって下さってて。」

「チロる」とは、チロル堂では大人が「寄付(ドネーション)する」ことを指す言葉。海南亭さんは牛すじそのものを寄付してくださっているそう。

気になる丼は、牛すじがスプーンで簡単にほぐれるほどトロットロで柔らかく、一口食べた鉄瓶さんも思わずにっこり。脂のうま味、甘みと肉のほろほろ感がたまりません。ほんのり黄色いお米はこだわりのターメリックライスです。これがたったの600円!驚きです。

さらに、メニューを見ると「この牛すじ丼には2チロルが付いています。」の文字が。

なんと、店内でおいしいご飯を食べるだけで、簡単に寄付に参加することができるんです。また、ほかにも野菜や駄菓子などの寄付も歓迎しています。

寄付に参加できるのはランチタイムだけはありません。

スタッフ・山本さん

「夜は酒場に変わります。」

気になるので、夜にもう一度訪れることに。

のれんも昼間の鮮やかな黄色から一転、紺色に「チロル酒場」と書かれたものに変わり、店内の照明も落とされて大人の雰囲気に様変わり。

手描きのメニューは週によって内容が変わることも。

おすすめを頼んで出てきたのは「生ビール」と「モロヘイヤのおひたし」です。

そしてカウンターに並べられたのはチロル札が2枚。なんと、夜の酒場でもメニューの中に寄付が含まれているそう。

鉄瓶さん

「楽しみながらもうこどもたちを助けている。」

スタッフ・山本さん

「その循環がすごいですよね。ここだけ呑んでも怒られない場所です。」

こどもたちのためになると思うと、ビールのおいしさもひとしおです。

鉄瓶さん

「大人たちだけでも社交場が少なくなっている中、こどもたちからとっても、最近公園も少なくなってきて、ちょっとでも集まる場所がある、喋る場所があるっていうのはすごくいいですね。」

ビールを飲むと「ナイスチロる」の声掛けが

こどもたちはお小遣いを握りしめて友達と一緒に楽しめる駄菓子屋さんとして、そして。大人たちはおいしくて低価格のランチや、酒場でお酒やおつまみを楽しむだけでこどもたちの助けになれる、そんな優しい仕組みの「チロル堂」。

長く続くように、みなさんも是非気軽にチロりに行きませんか?

※この記事は取材当時の情報です。

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