夫妻織りなす美の世界 ファン浸る 奥田元宋・小由女展 会期中盤

小由女さんの「海への誘い」(左)など、夫妻の優品が並ぶ会場

 日本画家奥田元宋さん(2003年没)と、妻で人形作家の小由女さん(86)の創造の軌跡をたどる特別展「奥田元宋・小由女美術館展」は会期中盤。会場の岡山シティミュージアム(岡山市北区駅元町)には17日も美術ファンらが足を運び、豊かな色彩と繊細な描写が織りなす夫妻の美の世界に浸っていた。

 奥田元宋・小由女美術館(三次市)の所蔵品から、2人の作風の変遷と深まりを物語る代表作を中心に61点を厳選。滑らかな曲線を描く髪や優美な模様をちりばめた衣装が美しい小由女さんの「海への誘い」、何度も写生に通ったという秋の奥入瀬渓谷(青森県)を鮮烈に表現した元宋さんの「彩溪淙々(さいけいそうそう)」など、多彩な優品が注目を集めていた。

 会場には2人が受章した文化勲章も展示し、芸術家として高め合ってきた歩みを紹介している。岡山市中区の女性(68)は「絵画と人形と、表現の形は異なるが、根底の部分はつながっているような2人の作品を見て、温かな気持ちになりました」と話していた。

 山陽新聞社など主催。11月12日まで。月曜休館。

© 株式会社山陽新聞社