【飲んでね静岡茶】秋にお茶摘み体験会を開催…その訳は?(静岡市葵区・足久保地区)

お茶の収穫といえば「春」を思い浮かべる方が多いと思いますが、先日、静岡市葵区の足久保地区で秋のお茶摘み体験が行われました。その背景には、静岡茶を取り巻く厳しい現状がありました。

静岡駅から車で30分ほどのところにある、静岡市葵区の足久保地区。800年の歴史があり、静岡茶発祥の地といわれています。

先日、茶農業協同組合「足久保ティーワークス」が企画したのは・・・

(足久保ティーワークス 吉本邦広 組合長)

「秋冬番茶の新しいきれいな芽が出ています。その上のいいところだけ摘もう、秋の新茶」

一般募集した、約70人の参加者に「秋のお茶摘み」を体験してもらおうというイベントです。

足久保地区では例年、4月中旬から5月中旬にかけて「一番茶」、6月中旬から7月中旬にかけて「二番茶」、そして、9月下旬から10月中旬にかけて「秋冬番茶」を収穫しています。

主にペットボトル飲料やティーバッグなどの原料になる秋冬番茶。しかし、消費の低迷に加え、茶葉を加工する工場の燃料費が高騰・・・採算が合わないことから収穫を断念しました。

(足久保ティーワークス 吉本邦広 組合長)

「なかなか秋冬番茶のオファーがこない。あちこち呼び掛けたが、去年の約半分の買い手しか見つからなかった」「経費も重油やいろいろな資材が上がっているので、やむを得なく中止にした」

しかし、このままだと収穫予定だったお茶をそのまま刈り落とすことに・・・そこで、足久保茶のファンを増やそうと「秋のお茶摘み」を体験してもらうイベントを開催したのです。

(参加者)

「去年から静岡に住み始めた、お茶摘みやりたかったので、うれしい」

「最初はお茶摘みなんて…と思ったが、いざやってみたら楽しかった」

「なかなかリーフ、茶葉を飲むのが、最近ペットボトルが多いので、みんなが茶葉を飲むことが広がるといい」

静岡茶を取り巻く環境は厳しさを増していますが、組合では今後も、いろいろな仕掛けを続けたいと考えています。

(足久保ティーワークス 吉本邦広 組合長)

「大量生産は九州など西の茶業界になるので、何が足久保はいいかというと、消費者がまわりにいることなので、そういう方と一緒にいろいろな商品を作って楽しんでもらって、継続していきたいというのが私たちの願い」

摘み取った茶葉は「和紅茶」に加工して組合が運営する売店で販売されるほか、参加者のもとに届けられるということです。

© 株式会社静岡第一テレビ