「知らないことは怖いこと」視覚障がい者向け“防災マップ”は音で伝えます! 耳で聞いて災害リスクを知る【わたしの防災】

自分の住む地域にどのような災害のリスクがあるのかを確認できる「防災マップ」や「ハザードマップ」。視覚に障害がある人も使える音で聞ける「防災マップ」が完成しました。

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静岡県富士宮市に住む鈴木はるえさん(71)です。高校1年生の頃から徐々に目が見えなくなり、いまは両目が全く見えません。外出するときは必ずガイドヘルパーが付き添います。

<鈴木はるえさん>
「ひとりだと出歩くこと自体、わたしの場合はできないと思います。だから、災害の時は、緊急時は特にどうにもならないんじゃないかな。情報がわからないですよね」

静岡県内には、視覚に障害のある人が約7,600人、富士宮市には300人ほどいます。

「災害時に情報がなく不安だ」という鈴木さんの声を聞き、富士宮市が音で聞ける防災マップを作成しました。

<富士宮市障がい療育支援課 薬師寺知美さん>
「富士宮市の全戸配布されている防災マップ、視覚障がいの方向けにCDで作成した」

富士宮市が9月完成させたのは、CD版の防災マップ。県内でも珍しい取り組みです。

<富士宮市障がい療育支援課 薬師寺知美さん>
「プレクストークという機械で、視覚障害者の方が日常生活用具で申請すれば給付されるものだが、これを使って再生ができる」

「大規模地震対策の基礎資料として活用するため…」

火山の噴火や浸水が発生した時に、危険な地域や対策など、富士宮市の防災マップに載っているほとんどの情報を音声で知ることができます。

ただ、音声だけで伝えるのは、難しかったといいます。

<富士宮市障がい療育支援課 薬師寺知美さん>
「地図を目で見れば一目瞭然ですが、耳で聴いた時にどうすれば理解してもらえるか、そこが一番難しかった」

例えば、地図を音声で説明すると…

「液状化可能性マップ。南端が富士フイルム、北端は富丘小、養鱒場を超えて、さらに北の馬見塚手前の向原橋までの潤井川両岸エリア」

<富士宮市障がい療育支援課 薬師寺知美さん>
「南端が富士フイルムという、富士宮の人はみんな知っている工場で、北端は、富丘小学校、あとは、養鱒場を超えて馬見塚という地名になるが、こういったエリアを示していると説明した」

小学校や会社など市民が知っている場所を音声に盛り込みました。

鈴木さんに完成したCDを聞いてもらいました。

「火災災害時の避難場所は、一般的な災害の避難場所とは異なりますので、注意してください」

<鈴木はるえさん>
「いままでこの辺は災害がすごく少なく、大丈夫かなと思っていたが、このマップを聴いてみると、火山災害にしても、土砂災害にしても、結構この地域は危ないんだなって自覚した」

鈴木さんは、「知らないことは怖いことだ」と話します。

防災マップのCDは2023年11月から配布予定です。

富士宮市では今後、「家の周りにどのような危険があるのか」「避難場所はどこか」など、1人1人に合わせたCD版の防災マップを希望する人向けに作成予定です。

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