白山万年雪、酷暑に耐えた 千蛇ケ池、8月より6割減

千蛇ケ池雪渓の面積を計測する調査員。8月の調査より6割減少した=今月11日、白山

  ●温暖化で消滅の恐れ指摘 本社調査団 

 白山唯一の万年雪「千蛇ケ池(せんじゃがいけ)雪渓」の面積が今秋、1961(昭和36)年以降、過去2番目の小ささになった可能性のあることが17日、北國新聞社の手取川環境総合調査団のまとめで分かった。8月の調査に比べて雪は6割減少しており、今夏の酷暑が影響したとみられる。調査団は温暖化によって気温が上昇し続ければ、万年雪が将来的に消滅する恐れを指摘している。

 調査団「水・土砂循環グループ」の藤原洋一石川県立大准教授、小川弘司同大客員研究員が11日に千蛇ケ池の雪渓を計測したところ、面積は概算で800~900平方メートルと判明した。

 秋調査は1961年から行われており、面積が最小だったのは98年の478平方メートル。今年は過去2、3番目に小さかった2020年の818平方メートル、04年の949平方メートルと同規模とみられ、調査団は詳細データを取得するために再度、白山に登り計測する。

 8月の調査では2250平方メートルを計測しており、過去3番目の小ささだった。夏から秋にかけて雪がさらに解け、千蛇ケ池の雪渓は6割減少したことになる。

 雪解けが進んだのは、気温上昇が一因とみられる。今年は白山河内の平均気温は7月25.9度(前年同月25.2度)、8月27.8度(同25.6度)、9月24.4度(同22.8度)だった。調査団は気温がいずれの月も前年を上回ったことが雪解けを進めたとみている。

 今後、気温の上昇がさらに続けば、万年雪がなくなる可能性もある。小川客員研究員は「万年雪は年々減少しているというデータがあり、将来的に『確実に残る』とは言い切れない」と話し、引き続き調査を進める。

 ★千蛇ケ池雪渓 白山山頂西側の標高2570メートル付近にある。くぼ地に雪がたまるため直射日光が当たりにくく、秋まで解けずに残った雪が越年するとされている。

8月11日の千蛇ケ池雪渓

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