電子カードの金額に疑問、駐車場まで客追いかける 購入理由尋ね、詐欺被害防ぐ 佐用のコンビニ店

感謝状を受け取る服部和裕さん(右)=佐用警察センター

 特殊詐欺被害を防いだとして、兵庫県警たつの署はファミリーマート佐用町店(同県佐用町)のオーナー、服部和裕さん(44)に感謝状を贈った。8月には同店に勤める母の和子さん(74)、今月10日には店員の男性も特殊詐欺の被害を未然に防いでいる。服部さんは「店全体での取り組みが成果につながり、うれしい」とほほ笑んだ。(真鍋 愛)

 同署や服部さんによると、9月14日午後6時半ごろ、80代の男性が電子カード「アップルギフトカード」を「4万円分買いたい」と来店した。会計の様子を見た服部さんは高額な購入金額に疑問を抱き、駐車場まで走って男性を追いかけた。

 服部さんが「カードの使い方は分かりますか」と尋ねると、男性が「使い方は分からない。パソコンがウイルスに感染した」などと話したため、詐欺だと直感。店内に誘導し、和子さんに男性の話し相手を頼んでいる間に警察に通報した。

 同署によると、男性は自宅でパソコンを操作している時に「このパソコンはロックされた」などと書かれた画面が突如表れた。画面に出た番号に電話すると、片言の日本語を話す男性から電子マネーを買うよう指示されたという。

 普段から店員に「お客さんに声かけする勇気を持って」と呼びかけている服部さん。同店では詐欺被害が疑われる場合は必ず服部さんに報告し、服部さんに連絡が取れない場合はたつの署に通報するよう指導しているという。

 服部さんは「売る側が止められれば、被害は出ない。これからも水際の対応で、地域に貢献していきたい」と話した。

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