【コラム】業績が上がりにくい時代に、まず何をするか?(WEB版)/チャーリー・ロドリゲス・湯谷

1. 物価高は止まらない!
現在、日本はデフレを超え、景気が冷え込んで低迷しているのに物価が上がる「スタグフレーション」の時代へ突入しています。日本の金融政策の影響で円安から脱却できず、輸入品を中心に今後も物価上昇が続くのは確定的なのに賃金上昇が追い付かず、物価高に歯止めがかからない、という構図です。

こうなると不況に強いと言われたパチンコ業界も、今後数年はさらに節約志向になることは避けられず、極めて厳しい状況が待ち受けていることでしょう。特に、固定費増や経費増もありますが「極度な営業不振」が長期化し、現在よりもさらに激しい「ギャンブル依存が強く、たくさんお金を使ってくれるヘビーユーザーの集客合戦」になるのも間違いありません。具体的には、内部留保が潤沢なホール法人を中心とした「入替・出玉競争」「薄利営業」に拍車がかかり、数年で寡占化が一気に進むことも想定しておかねばなりません。

この「メーカーもホールも…そしてユーザーも」という、三方良し、という状況にはなりにくく、今、改めて業界の存在意義そのものが社会から「強く」問われています。今後、業界として、どんな価値を社会に提供できるのか?また、そのことで縮小でなく「顧客の創造」が実現できるのか?大きな分岐点に差し掛かっていると思います。

2. 「顧客創造」を遊技機性能に頼り過ぎるのは間違い
過去、業界が厳しい時代には遊技機性能の改善…特に「射幸の高さ」を中心にユーザーを魅了し、成長してきたプロセスがありました。しかし、既に「デフレ」を超えた「スタグフレーション」の時代に突入しており、今後、さらに機種性能にギャンブル性を求め過ぎれば「ギャップ」が生じ、市場は拡大どころかもっと縮小することでしょう。本来、社会のストレスを発散する「大衆娯楽」の一つとして、受け入れられてきた歴史がありましたが、ギャンブル化が進んだことで時代に合わない産業となっています。

これからの時代、ギャンブル産業の道に進むのか?原点回帰し、娯楽産業の道に戻るのか?または全く別の道を進むのか?その大きな分水嶺に差し掛かっていて、決断まで残された時間は長くない、というのが実情ではないでしょうか。

3. まず、店舗ブランドのイメージアップから
業績に関わらず、パチンコ店は「店舗を有して商売をする事業」なので、商圏設定とターゲット設定は最重要事項です。この「エリア・マーケティング」を積極的に行うことを前提に、商圏内での「店舗ブランディング」を上げ続ける必要があります。

具体的には、商圏内に設定した重要ターゲットに対し、どんな価値を、どんな方法で提供するか?顧客満足度を高め、再びリピーターになってもらい、他者にも積極的に口コミで宣伝してもらうか?という活動です。

その要素は、当然新機種であったり、出玉であったりするわけですが、「遊技空間」や「居心地感」など、ソフト面の充実も要素に入るでしょう。決して射幸を高め、薄利営業を行うだけがブランディングすることではありません。「お客様をよく知り、商圏内を知り、自店を知る」ことが重要だと考えます。

4. 「利己的経営」からの発想転換
どうしても状況が苦しくなると、誰でも「利己的」な行動や発言が多くなります。これは致し方ないのですが、経営という主観で見れば「禁じ手」であり、NGなことです。まず「お客様の立場」「お客様を最優先にしたビジネス」でなければならず、どんなことをすれば「お客様の満足度が高まるのか?」を真剣に考える必要性があります。パチンコ業なら「出玉を出す」「薄利営業」はもちろん提供価値の一つですが、前述した「エンタメ性」「他店と異なる面白さ・遊技空間」「接客・サービス・クリンリネス」等、その全ては「お客様の為に」が前提であるべきです。

シンプルにその気持ちを具現化し、来店頂くお客様を「おもてなし」し、お店が提供する価値を「肌で感じ取ってもらう」…そんな伝える努力が必要な時代だ、と考えます。施策のアイデアは「全てはお客様の為に」と想を変えて、取り組んでもらいたいものです。

■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!

© 遊技日本合同会社