秋の大祭「郷くんち」 矢上と戸石で4年ぶり奉納 伝統浮立や太鼓で観客魅了

太鼓を打ち鳴らして踊る田之浦本浮立の掛打ち=長崎市、矢上神社

 長崎市東部の矢上神社(矢上町)と戸石神社(戸石町)で17日、秋の大祭があり、古くから伝承されている浮立が奉納された。本格開催は4年ぶり。
 矢上神社では、4年に1度の踊町(おどりちょう)に当たる田之浦、現川両地区がそれぞれ奉納。どちらも佐賀藩諫早領だった江戸時代の文化文政期(1804~30年ごろ)の発祥といわれ、雨乞いや豊作の祈りを込める。
 田之浦本浮立は3歳から70代まで214人が出演。太鼓を打ち鳴らして踊る「掛打ち」や頭上の大きな飾りを巧みに操る「月の輪」などダイナミックな演技を披露した。一方の現川浮立は約150人が出演。ゆっくりとした動作が特徴で2メートルの竹棒「ササラ」を使った、しとやかな舞で観客を魅了した。
 かけ声を発して観覧していた現川町の竹山カズ子さん(80)はササラ経験者。「昔から変わらない。ずっと続いてほしい」と話した。現川浮立を演じた市立高城台小5年の山﨑義明君(11)は「ポーズも格好よく決めて練習より上手にできた」と満足げ。午後は庭先回りがあり、街中に祭りばやしを響かせた。

体いっぱいのバチさばきを見せる戸石太鼓の園児=長崎市、戸石神社

 戸石神社では、上戸石町の長崎シャギリとともに、戸石保育園年長組34人が園伝統の「戸石太鼓」を体いっぱいのバチさばきで見せ、観客の笑顔と拍手を誘った。辻咲良ちゃん(6)は「おくんちはうれしい気持ちになる。衣装も好き」と晴れ舞台を楽しんだ。
 社殿を修復して初めてのおくんち。向井繁成総代長(72)は「シャギリの音、園児の演技に元気が出る。盛り上がった」と話した。

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