25年デフリンピック東京大会に向け“音の見える化”最新技術をお披露目

再来年に東京で開催されるデフリンピックに向けて、今年6月、聴覚に障がいのある人が観戦をより楽しむためのアイデアを競うコンテストが行われ、受賞したアイデアを体験できるイベントが10月17日から始まりました。

幕張メッセで10月17日から開催されている、アジア最大級のデジタル技術の展示会「シーテック2023」。小池知事のアバターが出迎える東京都のブースで、再来年のデフリンピック東京大会に向けた「音の見える化」が体験できます。

田中キャスター:「こちらでは、競技の音や会場の拍手の音を文字に表すことで、聴覚に障害がある人も楽しめるということです」

競技中の音や拍手が文字としてリアルタイムで画面に表示される「雰囲気・応援可視化システム」。卓球台の近くに設置したマイクで、ラケットの音や拍手を拾い、卓球台の裏に設置されたマイクで、台にボールが当たる音を拾っているということです。今回、デモンストレーションを行った、前回のデフリンピックで銅メダル獲得した灘光晋太郎選手は、新しい競技の楽しみ方に期待を寄せます。

灘光選手:「よくマンガで効果音が出るじゃないですか、それを実際にテレビとか見ながら体感している感覚なので、音が見て違いが分かるとそれだけで面白いですし、聞こえない人は当然なんですけど、聞こえる人でも音が見えるというのは楽しさが増えるのかなと」

また、デフリンピックに4大会連続で出場し、8個のメダルを獲得している亀澤理穂選手は、スポーツ観戦以外にも広がってほしいといいます。

亀澤選手:「自分は娘がいるんですけど、会話がやっぱり壁があるので、泣いてる音、怒っている音との感情に合わせて文字になるとすごい面白いですし、その壁も壊せる可能性もあるんじゃないかなと思いました」

また、競技の音を振動で体感するものや、観客の表情をAIが解析し、その感情を文字にして表示する技術も体験できます。さらに、「見える補聴器」というものも。

田中キャスター:「こちら見える補聴器ということで、メガネをかけると会話の内容が文字になって視界に写しだされます。早口言葉も認識できます。生麦生米生卵、隣の客はよく柿食う客だ」

音を見て体感できるこのイベントは、10月20日まで開催されています。

会場には2年後のデフリンピックに向け、様々な技術が集結していました。中でも卓球の音を可視化する仕組みは、耳が聞こえない人だけでなく聞こえる人にとっても、より音の臨場感を感じられる取り組みだと実感しました。

さらにこの仕組み、スポーツだけでなく電車の駅でも実証実験が行われました。去年6月、JR上野駅ではアナウンスや電車の発着音を文字に表して可視化しました。走行音やブレーキ音、発着音など、音の種類によって文字のフォントや大きさを変えることで、障害がある人に音の情報を正確にとらえてもらい、駅をより安全に使ってもらうことを目的としているということです。

© TOKYO MX