【菊花賞】皐月賞馬vs.ダービー馬“8対2の歴史”と“83分の2の確率”……それでも、今年はタスティエーラを推す理由

タスティエーラ/2023年日本ダービー(C)Toshihiko Yanagi

第84回菊花賞(GI、京都芝3000m)は、春2冠を分け合ったソールオリエンスタスティエーラが参戦し、23年ぶりとなる「皐月賞馬vs.ダービー馬」が実現する。

過去、菊花賞で実現した「皐月賞馬vs.ダービー馬」を振り返り、今年の展望を占う。

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■皐月賞馬>ダービー馬の背景

「皐月賞馬vs.ダービー馬」は2000年のエアシャカールvs.アグネスフライト以来となる。結果は皐月賞馬エアシャカールに軍配、ダービー馬アグネスフライトは単勝1.9倍で5着に敗れた。

それ以前では「皐月賞馬vs.ダービー馬」の対決は多く、1999年は春無冠のナリタトップロードが制したものの、2着は皐月賞馬テイエムオペラオー、ダービー馬アドマイヤベガは6着。1998年は皐月賞馬セイウンスカイが当時の世界レコードで逃げ切り、ダービー馬スペシャルウィークは3馬身半差の2着に完敗した。

過去、菊花賞での「皐月賞馬vs.ダービー馬」は16回あり、先着成績は12勝4敗で皐月賞馬がリードしている。そもそも三冠馬を除くと、皐月賞と菊花賞の2冠が8頭に対し、ダービーと菊花賞の2冠はわずか2頭。

菊花賞で「皐月賞馬>ダービー馬」となる背景はレースの性質か。皐月賞は例年前傾ラップになりがちで、直線の急坂を駆け上がりながら終いの末脚も求められる持続力勝負。一方、日本ダービーは後傾ラップが多く、とくに近年は上がり3F33秒台の末脚が求められる瞬発力勝負となる。

3コーナー下りから加速するロングスパート戦になりやすい京都芝3000m。おのずと皐月賞で求められるスピードの持続力が必要というわけだ。では今年も、皐月賞馬ソールオリエンスに軍配か。結論はノー。

突飛な見解だが、今年は皐月賞馬とダービー馬が本来は逆だったように思えてならない。

■ロンスパ戦ならタスティエーラ

今年の皐月賞は前日からの雨で「重」。当日は芝のクッション値「8.0/標準-軟らかめ」と発表され、レース上がり37秒2、勝ち時計2分00秒6とタフな一戦だった。

これを上がり3F35秒5で大外一気のソールオリエンスは別格だったが、外差し馬場だったのも事実。前半1000m58秒5を4、5番手から2着に粘ったタスティエーラも相当なものであり、後に日本ダービーで4着と巻き返したベラジオオペラも好位を追走したが10着に失速している。

一方、日本ダービー。前半1000m60秒4の平均ペースで流れたが、例年通り前が止まらない高速馬場。これを一手早く抜け出したタスティエーラが、直後にいたソールオリエンスの追撃を振り切り、クビ差でダービー馬の称号を掴んだ。

今年の皐月賞と日本ダービーは、展開や馬場、位置取りを含め、わずかの差が勝敗に左右した印象を受ける。つまり、菊花賞のロングスパート戦に向くのはタスティエーラのほうと見る。

皐月賞ではソールオリエンスが優勝し、2着にタスティエーラ。日本ダービーではタスティエーラが優勝し、2着にソールオリエンス。しかし、皐月賞馬とダービー馬が1、2着を占めたのは、ダービー馬タケホープが制し2着に皐月賞馬ハイセイコーの1973年、前述のセイウンスカイとスペシャルウィークで決した98年の、わずか2回に過ぎない。

果たして、両馬が繰り広げる「名勝負数え唄」の結末は……。

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(T.Yamada/SPREAD編集部)

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