サッカースタジアム訴訟、栃木市側全面敗訴 税免除「合理性ない」 控訴審、東京高裁判決でも

「勝訴」と書かれた紙を掲げて喜ぶ原告側の住民ら=18日午後1時35分、東京都千代田区

 栃木市岩舟総合運動公園内に日本理化工業所(東京都)が建設し所有するサッカー専用スタジアムの固定資産税や公園使用料を市が免除することは違法だとして、大川秀子(おおかわひでこ)市長に免除の取り消しなどを求めた住民訴訟の控訴審判決が18日、東京高裁であった。梅本圭一郎(うめもとけいいちろう)裁判長は同税や使用料の免除について「合理性があるとはいえない」とし、違法とした一審宇都宮地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却。2022年度分と23年度分の同税の免除決定の取り消しを命じた。一審に続き市側の全面敗訴となった。

 スタジアムは同社の子会社が運営する関東サッカーリーグ1部「栃木シティFC」のホーム施設。市は22年1月と23年1月を期日とする固定資産税の免除を決定。20年4月~21年2月の使用料約1225万円の支払いを請求しなかった。こうした決定への不満や疑問から住民側が提訴した。

 梅本裁判長は同税の免除について「社会通念に照らして合理性を有するものと認めることは困難」と判示。使用料を請求しないことは一審同様に違法とした。

 市側が主張する経済効果が的確かどうか不明で、同チームの上位リーグへの昇格見込みが明らかになっていない事情などを考慮。免除される同税の年額300万円、使用料の年額約1354万円について「免除され続けることに市民の理解が得られているのか判然としない」と指摘した。

 市側は控訴審で、スタジアムの設置で同公園のフェンスの更新費用約1億1千万円が不要になるなど、財政改善に寄与したと主張していた。しかし判決は、同税や使用料を「免除しなければ財政改善の効果が得られないものではない」などとし市側の訴えを退けた。

 また使用料免除が決まった経緯についても「判断過程が適切なものかどうか判然としない」と言及した。

 一審判決は、市条例に基づき同税を免除する程度の「強い公益性があるものとは到底認められない」などと判示していた。

栃木市岩舟総合運動公園内のサッカー専用スタジアム

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