高松の漆芸家後藤さん 真庭で個展 独自の漆の美 平面作品など16点

「空からの垂直」と後藤さん

 高松市の漆芸家・後藤健吉さん(71)の作品展が、真庭市勝山の勝山文化往来館ひしおで開かれている。伝統技法と斬新な表現方法が織りなす独自の漆の美が、来場者を魅了している。22日まで。

 漆黒に蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)で対象を写実的に描いた平面作品を中心に16点を展示。ひときわ目を引くのは、銀粉で細かな陰影を表現し、黒地にらせん階段を浮かび上がらせる一対の大作「空からの垂直」。上下にまっすぐ延びる階段の構造に「ひらめきが空から降りてくる感覚と、高みを目指す人々の上昇志向を重ね合わせた」と後藤さん。

 瀬戸内海をイメージし、波間にぽつりと浮かぶ小舟や島々を描いた作品群「ひとつの海」など、余白を巧みに使った秀作が並ぶ。

 後藤さんは香川県の伝統工芸「後藤塗」宗家の生まれで、岡山での個展は初めて。「常に新たな表現方法やモチーフに挑戦している。作品の自由さに注目してもらえれば」と話す。

 入場料300円。問い合わせはひしお(0867―44―5880)。

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