近藤麻理恵 “こんまりメソッド”誕生の瞬間を成田悠輔に告白「片づけノイローゼの失神から目覚めたらモノが光っていた」

毎月末の月曜深夜、25時59分から日本テレビで放映されている「夜明け前のPLAYERS」では、経済学者の成田悠輔が“未来の日本を作る変革者=PLAYERS”をゲストに招き、自ら“はしご酒3軒目”と揶揄(やゆ)するテンションで気になることをぶつける。

第9夜のゲストは “こんまりメソッド”で一世を風靡(ふうび)した片づけコンサルタントの近藤麻理恵。今や活動のフィールドは世界に広がり、著書は世界で1400万部の大ベストセラーに。「世界のこんまり」となった近藤と成田とが「片づけ」の本質を深掘りしていく。その鍵は本屋の棚にあるようだ。

■片鱗(へんりん)は5歳、転機は中学生。開眼した近藤は変わったルーチンにはまる

この日、眼鏡を新幹線の中に忘れたからと色違いの“身代わり眼鏡”を掛け、「双子だと疑われることを夢見ている」と快調なオープニングトークでスタートを切った成田。真っ白いワンピースでふんわりスタジオに入ってきた近藤麻理恵に「実在されているんですね」とやや照れ気味に挨拶を交わす。同世代だから(?)緊張しているのだとか。

トークは近藤のルーツをたどるところから始まる。5歳の頃から近藤は母親が購読する婦人雑誌を熟読、掲載されている掃除の知恵や節約術などを試すことを楽しみとし、「主婦って素晴らしい仕事なの」と楽しそうな母親の言葉に触発され「私も素敵なお嫁さんになりたい」と夢見る少女だった。

最初の転機は中学生の時。料理や裁縫はやればやるほど上手くなるのに、片づけはやってもやっても元に戻る「どうして?」と当時の近藤は悩んでいた。そんな折、またも母親が持っていた『「捨てる!」技術』(辰巳渚 著)を目にし、「捨てればいいんだ。捨てることってすごい」と衝撃を受けるのだ。

その日から、片づけに関する書物を読みあさっては実践を繰り返すという、近藤の片づけ研究が始まった。帰宅後毎日「自分専用のごみ袋ストックからごみ袋を取り出して…」と学生時代の片づけルーチンを恍惚(こうこつ)とした表情で語る近藤に、それまで静かに聞いていた成田がとうとう「だいぶ変わった性癖ですよね」と口にする。

が、近藤はひるむことなく「私もそう思います!」とうれしそうに返答。また、その行動を周囲にカミングアウトしたのかと成田が問うと、「ほとんど知らない。1人でこっそりやるのが乙(おつ)だったんです」と近藤。

成田の言葉で「近藤麻理恵」の不思議ワールドが徐々に開き、果ては片づけノイローゼ(自身が命名)で気を失い、いかほどかの時間の後、むっくり起き上がった瞬間に「(自分の部屋のモノが)全部光っている感じがしたんです」と語る“高校2年生の事件”が明かされる。

■高校生で片づけマシーンと化して失神。目覚めた時に“こんまり”誕生

それは突然やってきた。いつも通り学校から家に帰り、いつも通り自分の部屋のドアを開けた瞬間、部屋の中にモヤモヤと黒いモノが見えたのだ。途端「家のモノが全部嫌い、全部捨てたい。いいや、片づけなんかしたくない!」との思いが沸き上がった……といったところまでしか覚えていないと言う。失神したのだ。

JK近藤は当時、捨てるマシーンと化していた。「何を見ても、“ここが汚い”とか“ホコリがついている”とかモノに対して嫌なところ、ダメなところといった捨てる理由を探して、捨ててやろうと狙う怖い人になっていた」のだとか。

片づけに目覚めた頃には快感に思っていた片付いた家に居ても、リラックスできないばかりか、家族が少しでも散らかすとイライラ。片づけノイローゼに陥り、そのストレスが頂点に達したことで失神に至ったのだと近藤は解説する。

そして倒れたことを誰にも知られることもなく、一人目覚めた近藤の脳裏に突然、「片づけで大事なのは残すものを選ぶことだ。持っていて幸せになるもの、大好きだなと思えるモノを選べばいいんだ」と啓示のようなひらめきが表れたのだそうだ。“こんまり”誕生の瞬間だ。

この時、感覚として生まれた「ときめき」が後の“こんまりメソッド”の礎となるのだが、成田はこの変化を「捨てる技術から、残す技術へ」と冷静に分析した。

■アメリカで片づけ本は「哲学」に分類?! 2人の話も哲学的に

近藤の体験談を空(くう)を見上げながら、時にうなずきながら聞いていた成田はさらに、「片づけの快感とイライラは表裏一体だ」と語り出す。片づけが持つ「快感」と、片づけには価値があると知るがゆえに沸き起こる「ストレス」について触れ、“片づいている”または“散らかっている”状態は当事者の「心を映す鏡」と比喩した。

近藤も、片づけはその人の自尊心とひもづくと続ける。「モノを持つことって自分のアイデンティティに関わることなので、すごくセンシティブだし、だからこそ放っておかずにちゃんと一人ひとりが向き合っていくとよりすっきり生きられるんだなって思います」と片づけコンサルティングで出会った個人や家族を振り返る。

さらに2人は、片づけとは片づいているように見えることや、モノが少ないことではないと片づけの本質論に足を踏み入れる。

近藤は、オタクでモノをたくさん持っている自身の兄を例に「たくさんモノを持っている人も大歓迎」と、兄の風貌が成田に似ていることも併せて説明。成田は、秩序だてて行っているつもりの自身の片づけが周囲からは謎の要塞と見られていることを例に、人類の歴史にまで言及した持論を展開した。

「(片づけは)人類のテーマかなと思っている」と近藤も同調。アメリカなどで「世界の人も思った以上に片付けに悩んでいる」と経験し、モノをたくさん持っていることが幸せだといった幸福の価値観に従ってきた人類が「今はそのキャパを超えて、多いことに苦しめられている」と語る。

ただ違うのは、日本のように片づけがカルチャーになっていない国々では、その苦しみの解決法を瞑想(めいそう)やマインドフルネスなど自身の内側を見つめる手法に求めることだそうだ。ゆえに近藤の著書『人生がときめく片づけの魔法』は本屋の「禅・フィロソフィー(哲学)」のコーナーに置かれているのだが、これが「世界のこんまり」誕生の引き金なのだと話が続く。

第9夜の様子ほか『夜明け前のPLAYERS』の全話は、公式YouTubeでディレクターズカット版が、公式HPでノーカット版が配信されている。

『夜明け前のPLAYERS』
公式HP:PLAY VIDEO STORES
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