神戸製鋼、CO2の25%削減に成功 製鉄所の高炉で世界最高水準 原料に「還元鉄」投入

二酸化炭素削減の実証実験に取り組んだ神戸製鋼所加古川製鉄所の高炉(同社提供)

 神戸製鋼所(神戸市中央区)は、加古川製鉄所(加古川市)の高炉から排出される二酸化炭素(CO2)を25%削減する技術の実証試験に成功したと発表した。同社は2021年にCO2の20%削減に成功しているが、さらに改良を加えて削減率を高めた。高炉工程では世界最高水準という。(石川 翠)

 神鋼グループの総CO2排出量のうち、9割以上を鉄鋼事業が占め、そのうち8~9割は高炉工程で出るという。神鋼グループは30年に13年度比3~4割のCO2削減を目標に掲げており、高炉のCO2削減を主要な取り組みに位置付けている。

 高炉工程では通常、原料の鉄鉱石と、石炭を蒸し焼きにしたコークスを投入し、熱風を吹き込んで鉄鉱石から酸素を取り除く。今回の実証実験では、鉄鉱石とコークスのうち30%を「還元鉄」に置き換えた。

 還元鉄は、コークスではなく天然ガスを使って酸素を取り除いたもので、CO2排出量が少ない特長がある。今回用いた還元鉄は、世界の還元鉄生産量の8割を占める神鋼の米子会社ミドレックスが製造した。

 高炉に還元鉄を大量に投入すれば、ガスの流れが不安定になる課題があったが、高炉に吹き込む熱風の温度や湿度などを調整することで安定化した。これによりCO2削減率を25%まで高めることができたという。

 商用化に向けた最大の課題はコストだ。還元鉄を大量に使用するため、従来の高炉工程の製品と比べ、鋼材の価格が2~3倍になるという。

 木本和彦執行役員は「国の動きを注視しながら、業界団体とも相談している。(工程の安定化により)技術的にはフル操業が可能になったので、コスト負担の仕組みが整えば、一気にこの製法に移行したい」と話した。

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