ベンゼマが母国で厳しい立場に…イスラエル・ハマス紛争巡る発言でフランス国籍&バロンドール剥奪求める声も

母国フランスで厳しい立場にあるベンゼマ[写真:Getty Images]

アル・イテハドの元フランス代表FWカリム・ベンゼマが、イスラエル・ハマス紛争を巡る政治問題に巻き込まれている。

ベンゼマは、アル・イテハド加入時に「イスラム教徒でイスラムの国でプレーしたかった」と語るなどムスリムとして知られる。

そして、15日にはイスラエル軍によるガザ地区への空爆を受け、自身のX(ツイッター)に「女性も子供も容赦しない不当な爆撃の犠牲者であるガザ住民のために祈りを捧げます」と、ガザの犠牲者を追悼するコメントを残していた。

フランスではイスラム教徒が人口の1割を占めているが、イスラエル・ハマス紛争勃発後はイスラエルに対する支持とハマスによる攻撃を非難する声明を発表。国家としてはイスラエル側に立っている。

そういった事情もあり、長らくフランス代表の中心選手として活躍したベンゼマの前述の反応に対しては、一般人に加えて多くのフランスの政治家からネガティブな反応が届いている。

その中で2014年から欧州議会議員を務めるナディーン・モラノ氏は、「ハマスのプロパガンダの代理人」という過激な発言で同選手を糾弾。

さらに、フランスの内務大臣であるジェラール・ダルマナン氏は、ベンゼマに関して「誰もが知っているように、ムスリム同胞団と悪名高い関係にある」との主張を行っていた。

なお、1928年にエジプトで設立されたムスリム同胞団は中東におけるスンナ派のイスラム主義組織。バーレーン、エジプト、ロシア、シリア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オーストリア、日本など各政府からテロ組織としての認定を受けている。

この内務大臣の主張を受け、フランス上院議員ヴァレリー・ボワイエ氏は、ダルマナン氏の主張が証明された場合に、ベンゼマのフランス国籍とバロンドールの剥奪を求めている。

また、ダルマナン氏の側近はフランス『RMC Sport』で「我々はここ数年、ベンゼマの立場が、同胞団のイデオロギーの特徴である厳格で厳格なイスラム教へとゆっくりと傾いていることに注目してきた。同胞団イデオロギーは、イスラム教の規範をさまざまな社会空間、特にスポーツ界に広めることからなる」と、自身の側の主張の正当性を説いている。

一方、ベンゼマの弁護士は『Le Parisien』で、ダルマナン氏の主張を完全否定。さらに、選手の名誉を毀損したとして法的措置を検討していることを認めた。

「我々は、例えば我々にとって大切な情報操作に関する法律を適用して、この大臣に対して訴訟を起こすことを検討している」

「なぜなら、悪名高いと彼が言うムスリム同胞団とのこの存在しないつながりは、明らかに軽蔑的であると表現されているからだ」

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