新プロ野球チームの“期待と課題” 静岡市が本拠地「ハヤテ223」とは? 新球団創設が地域振興の要となるか【現場から、】

静岡市を本拠地とするプロ野球2軍のチームが新たに誕生することになりました。

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プロ野球の2軍は現在12チームあり、ウエスタン・リーグとイースタン・リーグに分かれています。

静岡は今回、中日や阪神が所属するウエスタン・リーグに参入が内定しました。

球団数が増えるのは実に66年ぶりと期待がかかりますが、多くの課題も浮き彫りとなっています。

<NPB 井原敦事務局長>
「内定先として新潟・静岡、この2社を決定いたしました」

9月29日、NPB=日本野球機構のオーナー会議で静岡にプロ野球チームが誕生することがほぼ確実になりました。

運営会社は都内で起業の支援などを行う「ハヤテグループ」の子会社「ハヤテ223」です。

<ハヤテ223 杉原行洋代表>
「まだこれは始まりに過ぎない、始まってすらおりません」

本拠地は、静岡県内最大級の広さを誇る静岡市の「清水庵原球場」です。

球場で練習を重ねる中学生は、地元にプロ野球の球団ができることに大きな喜びを感じていました。

<清水ベースボールクラブ 佐藤百恵さん>
「練習しているところを見に行けたり、もしよかったら一緒に教えてもらえる機会があったら嬉しいなと思います」

<清水ベースボールクラブ 柴田謄真さん>
「静岡の魅力もたくさん知ってもらえるような選手に来て欲しいです。バッティングとかをしっかり見て学びたいです」

<指導の様子>
「胸に投げろ胸に~」

野球離れが進む中、新たな球団の誕生が人気復活の起爆剤となることが期待されますが、懸念も指摘されています。

<清水ベースボールクラブ 遠藤裕之監督>
「我々もこうやって練習をしている中で練習時間が減ってしまうのかなという懸念はありますけど、折り合いをしっかりつけていただいて活動を今まで通りできたらいいなと考えています」

清水庵原球場の本拠地化を巡っては、他にも、多くの課題が…

<静岡市プロ野球球団創設推進室 山野井伸吾室長>
「バッターがファウルボールを打ったとき、特にライナー性の当たりが飛んできたときに直接当たってしまう危険性があるということで、安全面を確保するため防球フェンスを高くする」

1塁側と3塁側にある防球フェンスの高さは、2メートルしかなく、プロのバッティングの飛距離を考慮しなければなりません。

また、外野のフェンスははがれてしまっている部分があり、補修を求められているほか、照明の明るさの向上も指摘されています。

課題は、球場内だけではおさまりません。

<静岡市プロ野球球団創設推進室 山野井伸吾室長>
「庵原球場で高校野球の夏の大会が開催される際、マイカーで来場される方は駐車場が不足しているということで、周辺に交通渋滞が発生したり迷惑駐車が発生したりする。交通問題は、今回の本拠地化においても大きな課題の一つである」

現在、球場内の駐車場は第2球場を入れても約500台しか確保できません。

バスを利用しようとしても…

<植田麻瑚記者>
「清水庵原球場から歩いて5分のところにあるバス停です。JR清水駅に向かうバスなんですが、時刻表を見てみますと1~2時間に1本しか走っておらず、最終便は午後7時台となっています」

ハヤテは、臨時駐車場の確保やシャトルバスの運行を目指し、静岡市や交通事業者との調整を進めるとしています。

NPBは、今回の内定について「自治体との連携」を評価の一つにあげました。

<植田麻瑚記者>
「草薙球場の屋内運動場です。フットサルコート2面分の広さで庵原球場のブルペンよりも広く雨の日も練習場として活用できます」

ハヤテは県と静岡市との3者による連携協定を結んでいて、静岡県の川勝知事は「県営施設を積極的に活用してほしい」と前向きな姿勢です。

県全体からバックアップを受けるハヤテですが経済の専門家は、「スポーツと経済成長の親和性」に期待を寄せています。

<静岡経済研究所 森下泰由紀研究員>
「試合とか大会があると、選手も観客も移動しますよね。交通機関とか宿泊施設とかに大きな恩恵があります。地道にファンを広げていくという活動をしていくことで、人が集まる、経済効果が高まる」

球団数が増えるのは、実に66年ぶり…

<ハヤテ223 杉原行洋代表>
「ドラフトにかからなかったけど、もう一度野球で食べていきたいという若者が集まる場になり、選手たちが静岡で育って巣立っていく。NPBに人材を輩出していくことで野球振興に貢献する。あるいはフレッシュさを静岡の皆さまにお届けするのが我々のミッションではないか」

<水野涼子キャスター>
念願のプロ野球球団が誕生しますが、同じく内定した独立リーグの新潟と違ってチームをゼロから作ることになりますよね?

<植田麻瑚記者>
ハヤテは来月3日と4日に独自のトライアウトを開きます。

応募条件に関しては10月18日の週中に詳細が発表されるそうですが年齢の条件は設けないということです。

また、選手は45名程度を予定していて、7割から8割を若手の育成選手、2割から3割を元NPB選手と外国人選手で想定しています。

トライアウトの前日までに、監督やコーチの発表もあるということです。

<水野キャスター>
静岡に縁のある方が就任するんでしょうか?

<植田記者>
ハヤテの杉原代表は過去に最多セーブ王をとったピッチャー、元メジャーリーガー、4桁安打を生んだ元選手と面談したことを明らかにしています。

まだ解決すべき課題は多くありますが、新球団創設が地域振興の要となるか、注目です。

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