北方領土元島民たちの今切り取る 富山出身の写真家・山田さん、都内で個展

元島民を題材にした写真を撮影した山田さん

 北方領土の元島民3世で、富山市出身の写真家、山田淳子さん(41)=東京=は17日、東京都新宿区のギャラリー・ニエプスで個展「わたしの100人の祖父母たち」を始めた。県内や北海道に住む元島民の今を切り取った20点が並んでいる。22日まで。

 山田さんは祖父が歯舞群島の志発島出身。元島民の記憶を残したいと、2020年に都内で写真展を開いた。その後、コロナ禍で撮影が困難になり、21年10月から活動を本格的に再開。

 今回は今年7月までに黒部市や魚津市、入善町、北海道の函館市、根室市を訪問して写した作品を集めた。

 前回はモノクロ中心だったが、今回は「現在」を強調するためカラーにした。自宅の様子や海を眺める姿などを捉えた。

 山田さんは「元島民は故郷に帰りたい気持ちを抱きながらも、高齢化やロシアのウクライナ侵攻をニュースで見ることで諦めの気持ちが出てきている」と語る。

 戦後80年に当たる2025年までに100人撮影したい考え。「故郷に帰ることができない人が現実にいて、北方領土の問題は過去のことではない。望郷の思いを重ねて作品を見てほしい」と話した。

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