ミック・シューマッハーがアルピーヌA424をテスト。チームは「まだ決まっていない」とWEC参戦の噂を否定

 2022年までF1世界選手権に参戦していたミック・シューマッハーが、来季WEC世界耐久選手権にデビューを飾る新型LMDh『アルピーヌA424』をテストドライブした。

 シグナテック・チーム代表のフィリップ・シノーが明らかにしたところによると、ミックは10月17日火曜日、スペインのヘレスで行われたテストにおいて「短いプログラム」をこなしたという。

■初めてのプロトタイプカー・ドライブ

 7度のF1世界王者に輝いたミハエルを父に持つこのドイツ籍ドライバーはここ数週間、F1後のレースキャリア継続の手段として、アルピーヌとの関係が取り沙汰されている。彼は2015年のル・マンウイナーであるニコ・ヒュルケンブルクに取って代わられるまで、ハースF1で43グランプリを戦っていた。

 ミックはハースを去った後、メルセデスF1のリザーブドライバーを務めているが、ヘレスではシグナテックがオペレートするアルピーヌ・エンデュランス・チームに加わり、開発中のA424をドライブした。A424としては、前回のアラゴンに続いてこれが3回目のテストとなる。

「ミックは耐久レースに興味があり、我々は彼に耐久レースでの初体験を提供する機会を得た」とシノーはSportscar365に対し語っている。

「彼はこのクルマに乗るのはもちろん、プロトタイプカーに乗るのも初めてだった。彼がプロトタイプを運転できるかどうかには疑問はなかった。レベルという点はもちろん、マインド、アプローチ、スピリットという点でもね」

2023年、メルセデスF1でリザーブドライバーを務めているミック・シューマッハー

 シノーは、ミックがテストに参加したことを「ファースト・コンタクト」と表現し、クローズドコックピットのLMDhマシンに慣れるための機会だったと説明した。彼はF1へステップアップするなかで、これまではシングルシーターでレースを戦ってきた。

「正確な周回数は分からないが、彼の耐久レース初体験のために、短いプログラムを組んだ」とシノー。

「だが、彼がエンデュランス・プログラムの可能性を知るには充分だし、我々にとってもファースト・コンタクト(最初の接触)になる。しかし、彼にとっても、我々にとっても、将来どうなるかは分からない。けど、これはファースト・コンタクトだったんだ」

 シノーによれば、アルピーヌはミックとのテスト走行をこれ以上は計画しておらず、彼がアルピーヌのハイパーカーのラインアップに加わるかどうかはまだ決まっていないと、2024年に向けて彼とアルピーヌを結ぶ噂を否定した。

「我々と一緒になるのか、それとも他のマニュファクチャラーになるのか。私には分からない」とシノー。

「でも、彼は耐久レースに興味を持っていた。だから我々はこのテストの機会を設けたし、このテストについて話し合った。その先は、どうなるだろうね」

スペインのヘレスでテストを行うアルピーヌA424。今回のテストから、ブルーのカラーリングが施されている

 ミックに加え、シャルル・ミレッシ、ニコラ・ラピエール、アンドレ・ネグラオもスペインで行われるアルピーヌの複数日のテストプログラムで、A424をドライブする。

 ミレッシとラピエールは以前のテストでこのマシンをドライブしているが、WECのLMP2にアルピーヌ・エルフ・チームから参戦中のネグラオは、初めてA424のステアリングを握る。

「ミレッシとネグラオは、今年のアルピーヌのドライバーだ。だからテストに参加している」とシノーは説明する。

「彼らはいいドライバーだし、クルマの開発を助けてくれるという全幅の信頼を寄せている。ラピエールはこのクルマの公式開発ドライバーだ」

スペインのヘレスでテストを行うアルピーヌA424

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