貨物車盗難が倍増 ワンボックス車やトラック 9月末まで161件 茨城県警 

貨物車盗難の認知件数

茨城県内でワンボックス車やトラックなど貨物車の盗難が相次いでいる。9月末までの被害は前年同期比でほぼ倍増の161件。被害は県央地域が突出しており、前年同期の9件から55件と大幅増。運送業者は盗まれにくい「隠しスイッチ」設置など自衛策に取り組んでいる。

県警のまとめによると、県内5地域の貨物車盗難件数は9月末現在、県央55件、県南44件、県西42件、鹿行19件、県北1件。

被害に遭った車種で最も多かったのはトヨタのハイエースで、貨物車全体の約3割を占めた。このほか、いすゞのエルフやフォワード、三菱ふそうのキャンターやファイター、日野のレンジャーなどのトラックも被害に遭った。

自動車盗全体では県南が168件、県西が147件。前年同期比で県西が39件減だったのに対し、県央は同79件増の119件で、このうち57件が同県水戸市で発生した。

県西地域の被害減について、捜査関係者は同地域で自動車盗を繰り返した複数グループの摘発を挙げ、他地域の増加については「捕まるのを警戒して動きを変えてきた可能性がある」と指摘した。

捜査関係者によると、盗難車両は違法ヤードに搬入後に解体されて部品に分けられ、海外へ輸出されるとみられる。県内で届け出されたヤードは約500カ所あるものの、大型トラックが解体可能な大規模施設はなく、県警が把握していない違法ヤードが温床になっているという。

相次ぐ貨物車の盗難被害で、運送会社は二重、三重の防犯対策を余儀なくされている。

水戸市の運送業者は5年前にトラックが盗まれて以来、防犯カメラや警報器を配備。さらにエンジン始動を難しくする「隠しスイッチ」を全車に設置。セキュリティーが十分でないトラックは特に厳重に保管しているといい、担当者は「対策は自己防衛しかない」と語った。

県警は、隠しスイッチを装備した車両盗難が今年1~6月にゼロだったことから、県内のトラック販売事業者に対し、購入者へ設置を呼びかけるよう要請。県内の未確認ヤードについても調べを進め、被害防止につなげたい考えだ。

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