青森・むつ市の味、相次ぎ姿消す 松木屋のそば、第25航空隊カレー 「さとちょう」閉店前に

閉店後の店内を片付ける館さん。いすは松木屋時代から使ってきたものだという
Epicで提供していた第25航空隊カレーと大湊海軍コロッケ。17日で販売を終了した

 スーパー「さとちょう」の青森県内全24店が20日に閉店するのを前に、むつ市内の2店で、市民に親しまれてきた地域の味が惜しまれつつ姿を消した。「松木屋のそば」と呼ばれてきた中央店のそば・うどん店は16日でのれんを下ろし、むつ松木屋店のレストランも海上自衛隊第25航空隊(同市)のレシピによるカレーの販売を17日で終了した。ともに現時点で移転・再開の予定はないという。

 関係者によると、「松木屋のそば」は昭和40年代後半、同市柳町1丁目のむつ松木屋(現・さとちょうむつ松木屋店)の脇で営業を始めた。いす7席だけの簡易な構えで、今に至るまで店名はない。店員が短時間で食事できるように造られたが、下北産昆布と鶏がらをベースとした味わい深いつゆと、200円台から食べられる安さが評判を呼んで、市民にも広まった。

 さとちょうむつ松木屋店改装のため2021年4月に中央店へ移転したが、7脚のいすや看板はそのまま使ってきた。かけそばは1杯340円、一番高いメニューでも440円と最後まで低価格を貫いた。

 営業最終日の16日は午前11時の開店前から行列ができ、閉店前に約100食を売り切った。現在まで通算16~17年にわたって調理を担当してきた館昭子さん(68)は「良いお客さんばかりで本当にありがたかった。閉めるのは残念で続けたい気持ちはあるけど行き場がない」と、やりきれない気持ちを口にした。

 一方、むつ松木屋店のレストランEpicは自衛隊関連施設が多数立地する同市のご当地グルメ、大湊海自カレーの「第25航空隊カレー」と「大湊海軍コロッケ」を提供してきた。

 第25航空隊カレーは、スパイスを効かせつつ辛さを抑えたキーマカレー。20年まで提供していた別店舗が販売をやめたため、Epicが後継に応募。同航空隊からレシピを学び、21年11月に復活させ、1日限定10食で販売してきた。

 店は今月から食数を限定せずに提供。店によると多くの市民が足を運び、17日までにコロッケも含めて完売した。19、20日は自衛隊グルメ以外の一部メニューのみ販売する予定。佐藤長商品管理本部の横山渚本部長補佐は「(22日の)開店2周年を前に閉店することになり大変残念。多くの人に利用していただき感謝している」と取材に話した。

 むつ市内のさとちょう3店のうち、トライアル(本社福岡市)のグループ会社が新町店の営業を引き継ぐが、店舗関係者によると、新町店に飲食店を設ける話はないという。中央店とむつ松木屋店は事業の譲渡先自体が決まっていない。

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