自動運転車両で滑走路を点検 亀裂や損傷をAIが検知、南紀白浜空港で実験始まる

滑走路の亀裂などを点検する自動運転車両(17日、和歌山県白浜町で)

 和歌山県白浜町の南紀白浜空港で17日から、滑走路の点検に自動運転車両を使用する実証実験が始まった。滑走路での実験は国内の空港で初めて。効率的な空港運用を目指した取り組みで、空港を運営する南紀白浜エアポート(白浜町)は「来年度中の実用化を目指したい」と話している。

 実験はエアポート、マクニカ(横浜市)、NEC(東京都)の3社で進めている。タジマモーターコーポレーション(東京都)が販売している小型電気自動車「タジマ・ジャイアン」をマクニカが自動運転車両化したものを使用している。

 将来的な社会インフラの維持管理費の増加が見込まれる中、効率的な空港運用による省人化、点検者の技術に左右されない定量的な点検などを目的にした実験。運転者や保安要員が乗車しないレベル4相当の自動運転走行の実現を目指している。

 使用車両には、ドライブレコーダーを設置。撮影した滑走路路面状況の画像をNECが開発したAI(人工知能)が解析し、路面の亀裂や損傷などを自動で検知する。

 空港で現在、滑走路を点検している車両には運転手1人が乗っている。延長2千メートル、幅45メートルの滑走路を毎日、朝夕の2回点検している。1回の点検時間は約40分~1時間で、滑走路を2往復しているという。

 今回の実証実験を通して、空港制限区域内の自動走行に関する知見を蓄積し、課題を抽出。将来的には、自動運転車両の画像データを遠隔で点検することも目指したいという。

 エアポートなどは昨年7月から、空港内の道路でイベントに使用する自動運転車両の走行実験に着手。滑走路での実証実験に向けては今年5月から、マクニカのある横浜市での走行訓練などの準備を進めていた。今月、国交省の検査を通過し、滑走路での実験を始めた。

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