【先発薬と後発薬の薬価が同等になると?】先発薬の処方量最大1.9倍/民間調査

【2023.10.19配信】日本システム技術株式会社は、独自に保有しているレセプトデータを中心としたメディカルビッグデータ「REZULT」を基に、薬価改定による先発品医薬品の薬価が後発品と同額となったときの影響について独自調査を実施した。その結果、先発薬の処方量は最大1.9倍で、後発薬の処方量も下がらなかった。

調査対象は同社の保有するレセプトデータ(約880万人 2023年9月時点。
対象期間は薬価改定前(2021年1月‐2022年3月)、薬価改定後(2022年4月‐2023年6月)。
対象医薬品は、ムコスタ錠100mg(先発医薬品)、レバミピド錠100mg(後発医薬品)。

診療年月別の調査では、ムコスタ錠100mg(先発医薬品)とレバミピド錠100mg(後発医薬品)が調剤で処方されている処方数量の割合を診療年月別に集計。集計の結果、薬価が後発医薬品と同額の1錠10.1円となった2022年4月を境に先発医薬品の処方数量比が増加していた。2022年4月の薬価改定後の4月以降も8月まで増加傾向が続き、その後やや落ち着くといった傾向がみられた。一方、後発医薬品は、2022年4月の薬価改定後に処方数量比が下がるなどの影響は見られなかった。

2021年4月に薬価が11.8円から10.7円に引き下げられたとき(-1.1円)は処方数量比に変動がほとんど見られませんが、2022年4月の10.7円から 10.1円への引き下げ時(-0.6円)に大きく処方数量比が増加している。同社では、薬価引き下げの値段ではなく、後発医薬品と同額になることが処方数量比の増大のトリガーとして影響すると考えられるとしている。

また、先発品医薬品と後発品医薬品の処方量の比を診療年月ごとに可視化したところ、2022年4月の薬価改定後に先発品医薬品のシェアが2022年6月まで増加している様子が見られた。薬価改定前の2022年3月と処方数量比の変動が安定する2022年6月の比較で約3.3%先発品医薬品のシェアが増加している。

性年齢別の調査では、40~59歳の層が男女ともに多く使われている。どの性年齢層も2022年4月の薬価改定後に増加する傾向が見られ、処方数量の多寡はあるものの特定の性年齢層によって増加傾向に大きな差異はなかった。使用率の低い0~19歳についても2022年4月の薬価改定後に他と同様に増加傾向が見られた。

調査レポートの全文は以下で参照できる。
https://www.jastlab.jast.jp/news-20230929/

■メディカルビッグデータ「REZULT」について
日本システム技術株式会社では約880万人ものレセプトデータを中心とした各種情報をデータベース化し、メディカルビッグデータ「REZULT」を構築している。提供サービス形態は、データセットの提供、Adhoc分析、BIツールの環境構築などお客様の課題解決に最適なソリューションを揃えている。

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