【ラグビー】タイガーらが小田原での肉弾戦を制す/関東大学対抗戦 第3節 対 青山学院大学

2023年9月30日(土)関東大学対抗戦Aグループ 対青山学院大学戦 @小田原市城山陸上競技場

○慶大 31{17―20、14―0}20 青学大●

慶大は立ち上がり、自陣でのノットロールアウェイで青学大にショットを決められ3点を先制される。その後トライを重ねられ一時は3−20と17点差をつけられるも、前半30分以降にモールで2本中山がトライをあげ3点ビハインドで前半を折り返す。後半、20分までは互いに点が入らなかったが、相手のペナルティからタッチでラインアウト、モールを組むと中山がこの日3つ目のトライで慶大が試合をひっくり返す。32分には永山のキックをチェイスした末に松田がキャッチ。サポートにいた橋本にボールが渡りトライ。慶大は後半無失点、31−20で勝利を収めた。

関東大学対抗戦Aグループ 第3節
慶應義塾大学	2023/9/30(土)14:00 K.O.	青山学院大学
前半	後半	ロスタイム:4分	前半	後半
2	2	トライ(T)	2	3
2	2	コンバージョン(G)	2	3
1	0	ペナルティゴール(PG)	2	0
0	0	ドロップゴール(DG)	0	0
17	14	計	20	0
31	合計	20
前半12分 山田(PG)	得点者	前半6分   桑田(PG)
慶應義塾大学
#	氏名	身長(cm)/体重(kg)	学年学部	出身校
1	成田 薫	183/104	経3	慶應
2	中山 大暉	176/102	環3	桐蔭学園
3	岡 広将	173/107	総4	桐蔭学園
4	シュモック オライオン	181/100	環4	Mount Albert Grammar School
5	藤井 大地	181/98	経3	慶應
6	樋口 豪	174/98	文4	桐蔭学園
7	富田 颯樹	173/93	経4	慶應志木
8	冨永 万作	187/102	商3	仙台第三
9	橋本 弾介	169/77	法2	慶應
10	山田 響	174/82	総4	報徳学園
11	佐々 仁悟	173/80	総4	國學院久我山
12	三木 海芽	167/83	総4	徳島県立城東
13	永山 淳	188/94	総4	國學院久我山
14	笠原 悠真	178/80	政1	慶應
15	松田 怜大	174/82	環1	桐蔭学園
16	酒井 貴弘	169/98	商4	慶應
17	木村 亮介	173/103	環4	慶應
18	小松 秀輔	177/105	環4	名古屋
19	浅井 勇暉	188/107	総3	仙台
20	本郷 海志	171/93	経4	慶應志木
21	小城 大和	168/73	商3	北嶺
22	村田 紘輔	174/85	経3	慶應
23	磯上 凌	172/81	商3	青山学院
青山学院大学
#	氏名	身長(cm)/体重(kg)	学年学部	出身校
1	田中 創太郎	175/103	法4	國學院久我山
2	田中 太陽	173/94	文2	常翔学園
3	安部 駿亮	177/115	コ3	大分舞鶴
4	大崎 元	187/100	国経4	滋賀県立石山
5	荒川 真斗	185/106	法2	國學院久我山
6	八尋 祥吾	168/85	法2	東福岡
7	内藤 基	174/92	法2	東福岡
8	辻村 康	177/102	営4	東海大大阪仰星
9	亀井 健人	168/65	営4	桐蔭学園
10	青沼 駿昌	170/81	営3	仙台育英
11	川端 航聖	175/79	地球3	東福岡
12	桑田 敬士郎	177/84	営4	桐蔭学園
13	河村 凌馬	167/76	法3	東海大大阪仰星
14	榎本 拓真	183/84	法3	桐蔭学園
15	穴澤 開	172/80	法1	東海大大阪仰星
16	松下 稜	170/95	法2	桐蔭学園
17	田中 優光	173/104	法3	名古屋
18	寺本 哲盛	173/105	法4	桐蔭学園
19	目崎 魅大	183/90	国経4	茗溪学園
20	甲斐 冬竜	178/92	総1	京都成章
21	小林 純岳	160/64	社2	東海大相模
22	山田 壮	178/86	営1	國學院久我山
23	白石 颯	169/69	国経1	桐蔭学園
慶應義塾大学	青山学院大学
100.5kg	FW平均体重	99.6kg
804kg	FW合計体重	797kg
178.5cm	FW平均身長	177cm

◎交替/入替

慶應義塾大学
種別	時間	IN	OUT
入替	後半16分	17・木村	1・成田
入替	後半37分	20・本郷	6・樋口
入替	後半40分	19・浅井	4・シュモック
入替	後半40分	23・磯上	15・松田
入替	後半45分	16・酒井	2・中山
入替	後半45分	18・小松	3・岡
入替	後半45分	21・小城	9・橋本
入替	後半45分	22・村田	13・永山
青山学院大学
種別	時間	IN	OUT
入替	後半25分	17・田中	2・田中
入替	後半25分	20・甲斐	7・内藤
入替	後半33分	23・白石	11・川端
入替	後半38分	16・松下	1・田中
入替	後半38分	18・寺本	3・安部
入替	後半40分	21・小林	9・亀井
入替	後半42分	19・目崎	4・大崎

ここ2試合激闘が続いた慶大は1勝1敗、優勝争いに名を連ねるためには負けられない試合である。山田と永山が二人でスタメンに名を連ねるのはここ2戦ではなかったが、本試合では永山は13番のポジションに入り、キックの起点が2箇所ということになった。一方の青学大は明大に7−87、帝京大に0―80と、良いところをなかなか発揮できずにいる。しかし、慶大とFWの体格を比べると身長や体重の差はさほどなく、桐蔭学園高時代には岡とともに花園優勝を成し遂げた主将・桑田を中心としたチームで、決して侮れない。舞台は小田原、よく晴れた青空の下、戦いは始まった。

前半2分、早速ファーストスクラムとなる。注目のスクラム、ここは青学大の押しが勝り、慶大にコラプシング。タッチでラインアウトからFWで攻められ、ノットロールアウェイを許し、ペナルティゴールを決められ3点を先制される。8分には、青沼の青学大陣内からのキックに対する処理が少しもたつき、インゴール10mまで攻められるとラインアウトでモールを組まれ、そこから外に展開され最後は右WTBの榎本にトライを許した。立ち上がり10分で0―10とリードされる。

慶大が得点したのは10分、青学大のSH・亀井のボックスキックの処理で青学大がラインオフサイド。慶大はペナルティキックでショットを選択し、山田が左足で正確に決め、3点を返した。

慶大がこのまま流れに乗っていくかと思われた。青学大は試合開始からギアを上げてきていたのか、タックルの出足が速く、13分には慶大がマイボールスクラムから展開しようとするもパスや陣形が乱れ、またダブルタックルを受けなかなか前進をさせてもらえない。結局ノットリリースザボールを取られ、陣地を自陣22mまで挽回される。18分、ラインアウトでサインプレーを組まれ、HO・田中がラインアウト前に出てきた5番・荒川に放ったスローインをすぐ取り戻し、そのままトライ。24分には岡が「スクラムでのコラプシングなど、反則がかなり続いている」と警告を受けることもあり、30分までは3−20と、青学大にとっては準備してきたプレーができている様相であった。

「慶應頑張れ!」と観客から声がかかる中、黙っていない慶大は、再び青学大にキックオフサイドがありトライまであと5mのところまで前進。HO・中山のスローはLO・藤井の元に、そしてすぐ中山に投げ下ろすと、慶大ベンチから「大暉行けー!」の声が。その声を背に突進するもここは青学大が止めにかかる。相手の反則もあり左サイドインゴールまで5m付近から再びラインアウトへ。今度はシュモックに合わせてモールを組む。ぐんぐん前進し中山が今度こそグラウディングし、トライ。キックも決まり10―20。

FWの力勝負が多く見られた試合だった

さらに35分、SH・橋本のボックスキックを相手にキャッチされるも、そこにプレッシャーをかけノットリリースザボールを誘発。22mライン上からラインアウト、シュモックに合わせモールへ。FWだけでなく、対抗戦初出場のWTB・笠原やCTB・三木などBKの援護もあり加勢。再びラインアウトからモールの展開となると、ラックになりかけたところでボールを持った中山が飛び出しトライ。キックも決まり17―20と点差を縮めた。

全てのキックを成功させた山田

この後のリスタートをしっかりしたい慶大。このままの点差で前半を終えたいところ、コーチ陣からは「ノーペナだぞ!」と声がかかる。ミスを恐れるのではなく、守りでどんどん前へ。青学大のパスとキャッチは慶大のディフェンスの圧力に動揺したか、パスミス。なおも22mライン外での青学の連続アタック、CTB・河村がインゴールに抜けようかとしたところは佐々が好タックル。その他FWとBKのミスマッチがあろうと懸命に止め続ける。少しずつ青学の攻撃ラインを押し下げていき、ついに青学が捕球ミス。慶大は相手の攻撃を凌ぎ、良い流れで前半を折り返した。

自慢のディフェンスも魅力だ

後半開始直後のマイボールスクラム、相手のコラプシングを誘い組み勝った。直後のモールでは相手にオフサイドがあり、今度は青学大に警告。岡が「もっと盛り上がれ」と言わんばかりに両腕を上に2回あげ、自陣ベンチを煽った。慶大はこの試合、ラインアウトからモールを組みトライへ持っていく、という形を徹底していた。このターンではトライとならなかったものの、「得点の取り方」が確立されており、それに絶対的な自信を持っているように見えた。

モールでトライを量産する

後半10分でのスクラム、青学大に劣勢だった。岡が話をレフェリーに伺うも「あなたたち(慶大)が押し負けて回ってしまっている」。との返答。次に互いのフロントローに「スクラム組んだ後、止まること。押し切らないで」と声がかかる。後半最初の得点がどちらに転ぶか、慶大自陣内でのスクラムは青学大に軍配。インゴール付近まで攻め込まれ、青学大もモールでトライを狙いにくる。インゴール間際で慶大がペナルティを繰り返してしまうが、青学大はスクラムを選択。青学大は、スクラムは自分達に分があると思ったのだろう。「姿勢真っ直ぐ」とあらかじめ注意を受けた岡、燃えに燃えただろう。「セット!」のレフェリーの声の次に聞こえたのは、慶大側に左手を挙げながら吹いた長い笛。歓声の少し後に起き上がった岡は、シュモックと冨永と抱き合う。試練を乗り越えた瞬間だった。

FW陣の踏ん張りが光った

これで攻撃のムードができた慶大は16分、相手のダイレクトタッチのミスもあり大きく前進。18分、青学大にペナルティがあり永山はタッチに蹴り出す。最後はやはりモールからの攻撃と青学大も読んでいたのか、ラインアウトで2箇所競りに行くという攻めの守りを見せるも、慶大のコンビネーションがそれを上回った。クリーンキャッチに成功し、逆に手薄になったモールは勢いよくインゴールへ。グラウディングしたのはまたもや中山。この瞬間慶大は逆転に成功した。そして、山田のコンバージョンも入り24ー20。

この時点で残り15分ほど、逃げ切りに図るには少し早すぎる。一息つく間もなく青学大の反撃が始まる。25分、慶大ボールのスクラムでは、今度は慶大にコラプシングの判定。4点差、青学大はショットではなくタッチを選択。モールからの展開で攻めたが、対する慶大は富田と松田のダブルタックルで食い止める。さらに富田はタックル後ジャッカルに向かうが、おそらくタックルで足がつきオフフィートのため、「7番それはダメよ」とレフェリーからプレー中に声が通る。しかし、富田の執念を感じるプレーであり、相手にプレッシャーをかけることができ相手のノックオンを誘った。

70分、ハーフウェイラインで橋本がボックスキックを蹴ると、佐々がジャンピングジャッチ。岡、山田と連続アタックを仕掛け、次渡った永山はキックを選択。競争になるも松田がグラバーキックを捕球し、倒れたまま取ったボールをその場に走りかけた橋本にオフロードパス。インゴールまで持ち込み橋本はガッツポーズ。ダメ押しのトライ&ゴールを決め、31ー20と試合を決定づけた。決して気を緩めることなく73分、81分のスクラムでも組み勝ち、そのまま逃げ切った。

ガッツポーズをする橋本

本試合では、慶大の試合中での修正能力の高さが発揮された試合であった。前後半ともに序盤は相手の勢いが強くスクラムでプレッシャーを受けたり、組みにくそうな場面があったりしたが、勝負どころでスクラム戦を制し、後半は無失点と見事なディフェンスを見せた。スクラムでレフェリーに注意を受けることもあったが、そこでネガティブになるのではなくしっかり聞いて、円陣を組み気をつけるべきポイントをメンバーで共有するシーンが見受けられた。この試合のポイントとして、山田と永山の両キッカーが試合をうまくコントロールできたことも挙げられる。2人攻撃の起点があるということは、相手としては相当守りにくかっただろう。プレースキックを務めた、山田の左足から放たれるキックは正確無比で、誰もがゴール成功だと信じられるようなルーティンとキッキングであった。次戦は成蹊大戦である。今年から1部に復帰した成蹊大は、まだ勝ち星がないが「チャレンジャー精神」を持って挑んでくるだろう。そこに対し、伝統校としてどっしり構え、圧巻のプレーを期待したいところだ。

(記事:野上 賢太郎 写真:愛宕 百華)

帝京大	明大	早大	慶大	筑波大	立大	青学大	成蹊大	勝	敗	分	勝点
帝京大	———	11/19	11/5	12/2	○	○	○	○	4	0	0	20
明大	11/19	———	12/3	11/5	○	○	○	○	4	0	0	20
早大	11/5	12/3	———	11/23	○	○	○	○	4	0	0	19
慶大	12/2	11/5	11/23	———	●	○	○	10/22	2	1	0	9
筑波大	●	●	●	○	———	12/2	11/19	11/5	1	3	0	5
立大	●	●	●	●	12/2	———	11/5	11/19	0	4	0	1
青学大	●	●	●	●	11/19	11/5	———	12/2	0	4	0	0
成蹊大	●	●	●	10/22	11/5	11/19	12/2	———	0	3	0	0
◎勝ち点の多い順に順位決定を行う。(並んだ場合は勝利数で決定)

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