昭和レトロな湯治場のエコビレッジ化が進行中!山口県長門市俵山温泉ではじまっている若者たちによる地域創生

山口県長門市の霧深い山々に囲まれた、知る人ぞ知る温泉街「俵山温泉」。車一台がやっと通れる目抜き通りに旅館や民宿が肩を寄せ合うようにたたずむ風景は、昭和レトロそのもの。開湯916年の自然湧出の温泉は、温泉評論家の松田忠徳さんに「西の横綱」といわしめるほど療養に効果的で、馴染みの宿に逗留しながら外湯に通う湯治文化が営まれてきたそう。

しかし、時代とともに湯治が廃れ、客足が減り、宿の経営者の高齢化とともに廃業する旅館が目立つようになりました。

そんな俵山温泉に新しい生き方を求めて若者が集まりはじめたのは2020年のことでした。同年12月には3名の若者でエコビレッジが発足します。目指すは、「健康をテーマにしたコミュニティ」。いったい何がはじまっているのでしょうか?俵山ビレッジ管理人の三ツ木あずきさんにお話をお伺いしました。

大学を辞めてコミュニティの管理人へ

三ツ木あずきさん。灯炬庵にて

高校生のときに島根県隠岐海士町の地域おこし事例を知り、大いに感銘を受けた三ツ木あずきさん。埼玉県の高校を卒業し、地域創生を学ぶために北海道の大学に進学しますが、新型コロナウイルスの流行により、入学式もなく、楽しみにしていた実習もない半年間を送ります。

大学へ進学した目的を完全に見失ってしまった三ツ木さんは、夏休みを使い地域おこしが有名な地域を中心に旅をしました。その際、知人であり、全国でシェアハウス事業などを展開する(株)Community Consulting Japan(以下CCJ)代表の吉武大輔さんから山口県移住ツアーに誘われ、そこで出会ったのが俵山温泉でした。

三ツ木さん「住民から出資を募り、旅館の空き物件を買い取ってゲストハウスにした地域の方のお話を聞くことができました。この地に住んでいる人が誰よりこの地を愛していること・前を向いて動いていることに心が動かされました。その話を聞いた翌日、『長門に住みます!』と宣言したことをはっきりと覚えています。最終日に空き家を見学し、管理する人さえいれば、ここをシェアハウスにしてコミュニティ事業ができるという話にも心が動かされました。」

旅を終えるころには「地域おこしをきちんと学びたい」という情熱に満ち溢れていた三ツ木さん。しかし、大学に戻るとそこに待っていたのは、コロナ禍でやる気をなくしたたくさんの学生と、対応に追いつかない先生方。いつになったら「地域おこし」が学べるのか?4年という時間の使い方を考えた結果、三ツ木さんは大学を中退し、同年12月に俵山温泉へ移住しました。

温泉まで徒歩3分という好立地にある元宿坊の灯炬庵(とうこあん)を拠点に、吉武さんと秘書の西田あかねさん、三ツ木さん、さらに山口県の不動産会社を退職して加わった井上さんの4人で、俵山ビレッジはスタートしました。

昔ながらの湯治場の雰囲気を残す俵山温泉のメインストリート

住民出資による会社が運営するゲストハウス「ねる山」

地元の人が通う「町の湯」。源泉が施設の敷地から湧出し、抗酸化力が強い

三ツ木さん「元々湯治場である俵山温泉ですが、医療の発展により湯治客が減少し、加えて、旅館や飲食店の後継者不足など様々な地域課題があります。外者(そともの)の私たちがシェアハウスを構えて住むとしたら、何ができるのか。毎日のように温泉に入りながら話し合いました。」

それはある意味、湯治の時間でも。

三ツ木さん「湯治って結構時間が余るんだと思いました。昔は湯治客が遊べるようにゲートボール場やゲーセンがあったという話も聞いて、その現代版として、健康的なグルメを食べられたり、発酵食品づくりを体験できるようにしたらどうか、などと、健康を軸としたいろいろな体験のアイデアが出てきました。」

目指すは、「健康をテーマにしたコミュニティ」。この地域で続いてきた湯治文化を継承したいという意味も込められての言葉です。しかし、俵山ビレッジが目指したものはそれだけではないと、三ツ木さんは言います。

三ツ木さん「裏テーマは『人を育てるコミュニティ』。これは、CCJの創業時からの理念としてあったキーワードです。」

地域の求めていることに応えていくことで、人がつくられていく。実際、その言葉の意味を三ツ木さんは身を持って体験することになるのです。

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