【菊花賞/全頭診断】ソールオリエンスに「0.0.1.24」の危険信号 軸候補は「4.0.1.0」該当の非GI馬

ソールオリエンス/2023年皐月賞(C)Toshihiko Yanagi

今週は京都競馬場で、第84回菊花賞(GI、芝3000m)が行われる。混戦ムード漂う牡馬クラシック戦線の最終戦。ダービー馬・タスティエーラに皐月賞馬・ソールオリエンス、さらには前哨戦の神戸新聞杯を制したサトノグランツが上位評価に推されているようだ。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬17頭の全頭診断を行う。

◆【菊花賞2023予想/枠順】タスティエーラの4枠「0.0.1.15」も逆転可能 サトノグランツはプラスアルファで“馬券内率70.6%”

菊花賞2023全頭診断

・1枠1番 トップナイフ

古馬相手に2着と健闘した前走。当時はインが荒れていたが、その箇所からスルスルと進出したように荒れ馬場を苦にしないパワーが魅力の馬だ。翻って、菊花賞が施行される日曜京都は良馬場が濃厚。重賞での馬券内は自身の上がり3F34秒台後半以上に限定されており、ロスなく運べる枠順を差し引いても勝ち切るゾーンに据えるには躊躇してしまう。

・1枠2番 ウインオーディン

2度使われた芝2000m以上の重賞はいずれも掲示板外。関西圏の経験がない関東馬でもあり、強調材料は乏しい。

・2枠3番 シーズンリッチ

芝2400mで掲示板外が続く馬。全2勝が芝1800mと中距離適性が高い馬で、芝3000mの条件がマッチするとは思えない。

・2枠4番 ダノントルネード

前走は新馬戦を勝ち上がった新潟に加えて重賞2着がある芝2200m。絶好の条件にもかかわらず、馬券外に敗れた点は不満が残る。GIのメンバー相手での一変は難しい注文と言えそうだ。

・3枠5番 パクスオトマニカ

ダートの前走は参考外と言えるが、芝で使われた2度の重賞はいずれも馬券外。自身初の関西圏でもあり、変わり身は望み薄か。

・3枠6番 リビアングラス

休み明けの前走はプラス12キロの馬体重増。春競馬で減った分が戻ったとの見方が正しくと思われるが、1000m通過58秒9のハイペース逃げでそのまま押し切った点から確かな成長がうかがえた。2011-2020年の京都開催における菊花賞で、前走芝2200mを勝った関西馬は【2.1.2.2】。内めの偶数枠は先手を奪いたい同馬には絶好の条件と言えるし、不気味な雰囲気を漂わせる穴馬候補だ。

・4枠7番 タスティエーラ

ダービー馬が秋初戦に選んだのは菊花賞。3000mの距離をぶっつけ本番のローテは普通なら考えられないが、2018年勝ち馬フィエールマンが同じく秋初戦だったことから特段驚きはないローテーションだ。中山の2戦からスタミナに秀でたタイプとの印象だったが、前走日本ダービーではラスト4Fすべて11秒台の瞬発力勝負で後続を完封。父サトノクラウンは京都芝外回りで【2.0.0.0】、母父マンハッタンカフェも同様も戦績と血統背景も申し分なく、軽くは扱えない。

・4枠8番 サヴォーナ

前走神戸新聞杯は2着と人気薄を覆す激走。好位でロスなく運べたことが好結果につながった印象だ。翻って、今回は前走逃げ馬が複数出走する組み合わせ。一度使われた実績馬の上積みを想定したとき、連続好走へのハードルは高そうだ。

・5枠9番 ノッキングポイント

古馬相手に勝利を飾った前走新潟記念。これで全3勝が左回りと、明確にサウスポーの傾向を示している。ただ、当時が芝2000mでの勝利だった点は気がかり。2011-2020年の京都開催における菊花賞で、前走芝2000mを勝った馬は【0.0.0.10】。現役時代はマイル路線で天下を獲ったモーリス産駒でもあり、一気の距離延長がプラスに働くとは思えない。

・5枠10番 マイネルラウレア

重賞では【0.0.0.3】と厚い壁に跳ね返されている印象。厳しい。

・6枠11番 サトノグランツ

前走神戸新聞杯で2勝目の重賞勝利。レコードのおまけつきで、高速馬場への適性を示した点も好材料と言えそうだ。2011-2020年の京都開催における菊花賞で、阪神開催の神戸新聞杯を上がり3F2位以内で勝った馬は【4.0.1.0】。枠順もこれより外なら……というギリギリのところに収まった感があり、有力馬のなかではもっとも死角の少ない1頭だ。

・6枠12番 ハーツコンチェルト

1人気に支持された前走神戸新聞杯は5着。勝ち馬と0秒1差なら及第点と言えるが、賞金的に出走が微妙だった当時の状況を踏まえると必ずしも余力残しだったとは言い難い。栗東滞在ゆえ長距離輸送の不安がないとはいえ、連下までが精いっぱいか。

・7枠13番 ナイトインロンドン

スムーズに運べた前走神戸新聞杯だったが、11着と大敗。一変を望むのは酷に映る。

・7枠14番 ソールオリエンス

春の実績から断然の人気に支持された前走セントライト記念。2着なら上々と言えるが、右回りでのコーナリングのぎこちなさが改善されたとは言い難いレースだった。今回はコーナーの数が増える長距離戦。2011-2020年の京都開催における菊花賞で、前走セントライト記念の関東馬は【0.0.1.24】と連対すらなく、人気馬のなかでは信頼度が落ちる印象だ。

・8枠15番 ファントムシーフ

逃げの手に出た前走神戸新聞杯。結果は3着と、レコード決着を思えば上々の内容と言えそうだ。何が何でもハナを切るとは思えないが、ここは4角先頭に近い位置でレースを進めるはず。外枠が歓迎のタイプではないものの、瞬発力勝負でタスティエーラを下した共同通信杯を見るより京都芝外回りは合うと思う。

・8枠16番 ショウナンバシット

若葉Sまでは4角2番手と一定レベルの先行力を有していたが、3走前から道中後方待機がデフォルトに。後ろから進んだ近走も上がり3F2位以内の切れ味を証明できておらず、見直すなら少頭数の芝2000-2200m戦だろう。

・8枠17番 ドゥレッツァ

目下4連勝中の上がり馬。その内訳はすべて上がり3F最速と切れ味はこのメンバーでも上位に入る馬だ。とはいえ8枠17番は試練の枠。13頭立てまでしか経験がなく、関西圏も未経験と不安要素は多い。今年の中央GIの成績【2.2.4.3】馬券内率72.7%の鞍上C.ルメール騎乗を加味しても、勝ち切るのは至難の業と言える。

◆【菊花賞2023/血統予想】ゴールドシップ、オルフェーヴル輩出の“爆穴配合” 牡馬戦線の台風の目に

UMAJIN.netより一部編集・転載(2023年10月19日 18:01公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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