北海道に広がるワイナリー 道南で活気、札幌中心部にも!? 道内ワインの魅力とは

今週のテーマは、道内各地に広がるワイナリー。9月末の時点でその数58。余市町が突出して多いが、名寄市や東川町、北見市といったエリアでも開設の動きが相次いでいる。道内ワイナリーの魅力とは。

【連作障害がきっかけに 岩見沢の宝水ワイナリー】

番組コメンテーターの北大大学院・平本健太教授とTVhの中村秋季乃アナウンサーが訪れたのは、岩見沢市にある宝水ワイナリー。もともと畑作農家の倉内さんが、連作障害を防ぐために食用ブドウを栽培したのがはじまりだ。そんなブドウ畑の景観に感動した、時の市長の呼びかけで2002年に組合ができ、宝水地区農家の有志でブドウ栽培を始めた。

当初、年間3万5000本を作ったが、知名度がないためにほとんど売れなかった。だが2008年に国産ワインのコンクールで銅賞を受賞したのをきっかけに評判を呼び、全国に販売網を持つように。今では北海道を代表するワイナリーへと成長した。

【注目エリアは道南 開設相次ぐその理由は】

比較的気候が温暖で、ワイン造りに適した条件を備える道南。そこでことし、創業50周年を迎えたのが「はこだてわいん」。

近隣でのブドウ栽培がうまくいかず、長年、余市や仁木のブドウを購入していたが、近年地元での栽培環境が整い、2018年から自社畑でのブドウ栽培を再開、現在は1.7ヘクタールの畑で5品種を育てている。ビンテージワインの販売も始め、製造本数はまだ500本ほどと少ないものの評判は上々。既に完売したという。

そんな道南を巡るワインだが、課題は知名度の低さ。後志や十勝のようにブランド価値がないことから、より多くの人に知ってもらって知名度を高めていく取り組みが今、必要になっている。

隣の北斗市では新規参入のワイナリーが誕生。文月(ふみづき)地区にある「ドゥエ・プンティ」。2020年からブドウ栽培を始め、先月念願のワイナリーが完成した。

場所は、道南ワイナリーの先駆け、農楽蔵(のらくら)のすぐそばだ。経営するのは井坂さん。輸入ワインの営業を経験し、海外でブドウ栽培やソムリエの仕事にも従事してきた。ピノ・ノワール、ツヴァイゲルトなど6品種を栽培。この新しいワイナリーで醸造されたワインは来年出荷される。

同じく北斗で新たなワイナリー「トロッコ」を開設したのは石田さん。ワイン用ブドウ畑を始めて3年目だ。およそ2ヘクタールの土地でピノ・グリ、ピノ・ムニエなど6品種を育てている。

元々ソムリエだった石田さん。フランスでブドウの栽培について学んだ。札幌のフレンチレストランのオーナーシェフの後押しや地元の人との縁が重なり、ここ北斗市にワイナリーを構えることに。

5年後には1万5000本の生産を目指すという。土地に合うブドウを探し求める日々が続いている。

【札幌の中心部にワイナリー!?】

札幌の中心部、北大植物園に隣接する場所。ここで今ワイナリーの建設が進んでいる。

造っているのは障害者の就労支援をする札幌のリベラ。これまでは余市町や仁木町の自社農園でブドウを栽培し委託醸造してきたのだが、障害者の雇用の場を維持しようと自前のワイナリーの開設を決めた。来年4月から醸造をスタートし、年間6000リットル、8000本を作る計画。

リベラの渡辺さんは「観光客が旅の途中で訪れ、障害者との交流を深められるようなワイナリーになれば」と期待を寄せている。

【北大でワイン研究 今後の道内ワイナリーの可能性は】

宝水ワイナリーの代表的なワイン「シャルドネ」を味わった平本教授。道内各地に地域性や風土、いわゆる「テロワール」を感じられるワイナリーが増えてきていると説明。

北大にも「北海道ワイン教育研究センター」が開設され、これからさらに道内ワイナリーが活況を呈するのではないかと期待を寄せた。

(2023年10月21日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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