昭和初期の建築「六角堂」(南砺・井波)スポーツバーに再生へ 幼なじみ8人組が奮闘

改装を進める六角堂の前に立つメンバーら。左から3人目は加藤さん

 富山県南砺市井波地域の昭和初期の建築「六角堂」を改装し、来年1月にスポーツバー「六角堂BUZZ(バズ)」をオープンする計画が進んでいる。仕掛け人は同地域の幼なじみ8人組。それぞれ異業種で働きながら、若者でも通いやすいカジュアルな店を井波に生み出そうと奮闘している。その1人で会社員の加藤博之さん(45)は「移住者が次々と新しい店を開くのに触発された。地元からも井波を盛り上げたい」と意気込んでいる。

 六角堂は木造2階建てで、六角形の形状が特徴的な建物。かつては化粧品店や甘味処などが入居していた。近くの交差点の名前の由来になるなど、井波のランドマークとして長年親しまれてきたが、近年は長く空き家となっていた。

 転機はことし2月。出店に向けて物件を探していた加藤さんらに、井波の空き家を調査・仲介する任意団体「アキヤラボ」が六角堂を紹介した。井波の中心部に位置する立地は「気軽に通える」という店のコンセプトとも合致。4月に契約を交わし、市の空き家・空き店舗利用促進事業補助金の助成を受け、5月から本格的に改装工事を始めた。

 店内の塗装や備品の製作は基本的にメンバー自ら行う。職業は医師や会社員らさまざまで、本業の合間に集まり、こつこつと作業を進める。交流サイト(SNS)で工事の様子を発信するなど、完成までの歩みを住民らと共有できるよう工夫を凝らしている。

 店舗は1階部分で、テレビでスポーツ観戦をしながらテーブルやカウンターで飲食ができる。料理は肉や野菜を利用客自らが焼くスタイルで、中庭ではバーベキューができる。酒類は一般的なものに加え、地元のクラフトビールや地酒などを提供する。

 完成後は週末の夜をメインに営業する予定。ワールドカップなど大型スポーツ行事に合わせたイベントなども考えている。加藤さんは「いろいろな方に応援され、すごくありがたい。住民をはじめ、多くの人のよりどころになれるよう頑張りたい」と話している。

壁の塗装を行うメンバーら。内装の大部分は自分たちで手がける

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