高齢運転者の事故、若年者より低いが、死傷リスクは大 筑波大学が調査

交通事故のリスクは運転者の年齢が上がるのに伴い、高くなっているものの、10代や20代の若年層に比べると低いことが、筑波大学医療医学系の市川政雄教授の調査で分かった。市川教授は高齢者に対し、過度に運転免許返納を求めるのではなく、運転継続と代替モビリティをセットにして支援すべきと提言している。

筑波大学によると、市川教授は2016年から2020年に全国で発生した交通事故のデータから免許保有者数当たりの事故件数、事故件数当たりの死傷者数、死亡事故の当事者が死者数に占める割合を年齢層ごとに比較分析した。

その結果、免許保有者数10万人当たりの事故件数は中年以降、年代が上がるにつれて増え、85歳以上で400件に達していたが、18~19歳の1,200件近くや20~24歳の600件強に比べると少なかった。ただ、衝突相手が歩行者や自転車となると、高齢者の事故リスクが高く、自転車運転者や歩行者の死傷リスクも上がっている。単独事故で運転者自体が死傷するケースも高齢者で目立った。

高齢運転者の問題は、タクシーや路線バスの乗務員が60代、過疎地の自家用有償旅客運送となると70代が主力になり、大きな社会課題に浮上している。最近では国土交通省がタクシー不足の深刻化から、都市部以外でも個人タクシーの営業を認め、運転手の年齢制限を従来の75歳から80歳に引き上げる方針を示したことに対し、議論が起きている。

論文情報:

【Journal of Epidemiology】Revisiting older driversʼ risks of at-fault motor vehicle collisions in Japan

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