災害ごみ計画策定9割 茨城県内 4市町村も急ぐ

大雨による災害ごみ=9月13日、日立市内

災害ごみの処理計画を策定した茨城県内の自治体は、全44市町村のうち9割に当たる40自治体に上ることが19日までの県の調査で分かった。災害が頻発化する中、策定が進んでおり、残る4市町村も対応を急ぐ。地震や豪雨の発生時には、仮置き場の開設など迅速な初動対応が求められるため、茨城県資源循環推進課は「全ての市町村で策定できるよう進める」としている。

災害廃棄物処理計画は、2016年の環境省基本方針により、都道府県や市町村に策定が求められた。災害時に予想されるごみの量や処理方針のほか、仮置き場の候補地、収集や分別、運搬方法などを盛り込み、円滑な災害対応と早期復旧につなげる。

策定率について、環境省は25年度までに都道府県で100%、市区町村で60%を目指している。22年3月時点の調査で都道府県は100%、市区町村は72%となり、既に目標を超えているものの、未策定の市区町村が3割残っている。

県内では今年8月末時点で、全44市町村のうち40市町村が策定した。このほか東海村と境町は25年度、鹿嶋市は26年度の策定を予定する。一方、五霞町は20年度に素案を作成したものの策定には至っていない。町生活安全課は「できる限り(早期策定へ)進めたい」としている。

災害ごみは一般廃棄物に区分され、基本的には市町村が処理する。9月8日の台風13号に伴う大雨被害を受けた日立、高萩、北茨城の3市では河川が氾濫し、浸水家屋などから多くの災害ごみが発生。推計発生量(同22日時点)は3773トンだった。

日立市は8月に計画を策定した。今回の大雨で市内の住宅400棟以上が浸水被害を受け、家具など大量の災害ごみが発生した。市は計画に基づき、発生の翌日には、4カ所の仮置き場で受け入れを始めた。市資源循環推進課の担当者は「いつ、どこで災害が起こるか分からない。今回の経験から、実効性のある対策となるよう引き続き計画を見直していきたい」と話した。

災害ごみの処理を巡っては、自治体ごとの計画とは別に、県や44市町村、産業廃棄物処理業者など65団体・企業が20年に協定を締結している。被災した自治体に各職員を派遣して支援する。県は被災市町村からのニーズを聞いた上で、協力できる市町村に廃棄物の受け入れ、人や物資の支援を要請する。

県資源循環推進課の担当者は「全ての市町村の計画策定や協定により、災害ごみを迅速かつ円滑に処理できるようにしたい」と話した。

© 株式会社茨城新聞社