東大卒キックコーチ/田所剛之が解説する速いボールを蹴る為に重要な「蹴り足を重くする」とは?【東大卒キックコーチが教える本当に正しいキックの蹴り方】

蹴り足が重いとは?

蹴り足に力を加えても動きにくい状態

ここまで、速いボールを蹴るための一つのアプローチとして蹴り足の速さを最大化するためのポイントを挙げてきました。続いては、キックを衝突問題として捉えたことから導き出されたもう一つのアプローチである蹴り足を“重く”することについて議論します。蹴り足を重くするとか体重をボールに乗せるとかいう表現は指導現場でよく耳にしますが、この重さというのは何を指しているのでしょうか?

蹴り足の重さは常に一定のはずだし、体重を乗せるという表現はボールの上に乗っかるというのであれば具体的にイメージできますが、実際に使われている意図とは異なるはずです。これらを厳密に議論するために力学における基本のキとも言える運動方程式に立ち返って考えてみましょう。運動方程式はma=Fと表され、mというのは質量、もしくは重さとなんとなく習って来た方がほとんどでしょう。

しかし、この運動方程式におけるmは厳密には慣性質量として定義されていて、簡単に言うと力をかけた際の動きにくさの指標と言えます。衝突後の物体を速くするには重い物体をぶつけると良いと言ってきましたが、正確には質量の大きな物体、つまり力をかけても動きにくい物体をぶつけることが重要です。つまり、キックにおいて蹴り足を重くするとは「蹴り足に力をかけても動きにくい状態でインパクトする」ということになります。

動きにくい状態でのインパクト【OK】

足首を固定した動きにくい状態でボールをインパクトすることで強いボールを蹴ることができる。

ma=F m:質量 a:加速 F:力

この方程式を簡単に説明すると

「質量m」の物体に「加速度a」を作用させるには「力F」が必要。「質量m」の物体に「力F」が作用すると「加速度a」が生じる。

【出典】『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』 著:田所 剛之

『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』はこんな人におすすめ!

・効率的なキックを蹴りたい! ・サッカーで我が子に活躍してもらいたい! ・本当に正しいキックの蹴り方を知りたい
と感じている方には大変おすすめな本です。

著者・田所剛之氏は東京大学でスポーツバイオメカニクスを専攻し、卒業研究ではサッカーのインサイドキックを力学的に研究しました。在学中は、東京大学サッカー部のフィジカルコーチも務めました。また、学生ながらパーソナルトレーナーとしても活動しており数多くのJリーガーを指導しています。本書では感覚的なことは一切排除をして、物理学的に正しいとされるキックの理論を解説します。いままでは慣習的に正しいとされていたけれども、物理学的には間違っていたキックの常識にメスを入れ、本当に強いシュートの蹴り方、本当にゴールに繋がるフリーキックの蹴り方、本当に味方が求めるパスの蹴り方を身に付けられます。

オールカラーでイラストと写真をふんだんに使い、サッカープレイヤー、サッカー指導者だけでなくサッカー少年・少女の保護者にも理解しやすい作り

強いシュートを打つ、良く曲がるフリーキックを蹴る、ピンポイントパスを出すなど理想的なキックを蹴るために必要なことは何か?それは正確な物理学の知識と、それを再現できるようになるための正しい練習法なのです。キックとは「蹴り足とボールの瞬間的な衝突がすべてを決める」。このことを正しく知っていれば無駄で間違った練習をしなくて済みます。1つ例をあげれば衝突後のフォロースルーなんてどんな形でもよいのです。

気になる中身を少しだけご紹介!「飛距離を伸ばす!」斜め上向きに力を加える方法

身体よりも前でボールにインパクトする

まず、少しのバックスピンをかけて速いボールを打ち出すために斜め上向きの地方を加える方法を考えます。キック動作中の蹴り足の動きは大雑把に言うと蹴り足側の股関節を軸とした振り子運動です。振り子運動は軸の真下で最下点を迎え、軸より後ろでは振り下ろす向きの運動を、軸より前では振り上げる向きの運動をすることになります。

この振り子運動の途中でボールにインパクトして斜め上方向に力を加えようと思うと振り子の軸よりも前にインパクトポイントを持ってくる必要があるので、蹴り足側の股関節よりも前、イメージ的には身体よりも前でボールにインパクトすることが必要になります。厳密に言うと、実際にはキック動作中の蹴り足は、股関節と膝に二つの軸を持つ二重振り子のようになります。ロングキックのインパクト付近では股関節の動きに対して膝関節の動きが十分に速くなるので、膝関節の振り子を考えれば良く、斜め上向きの力を加えるには膝関節をボールより後ろに持ってくることが必要になります。この場合でも身体よりも前にインパクトポイントがくることになるので、身体の前でインパクトするイメージを持っておけば十分です。

★速さ、回転、打ち出し角度がボールの軌道を決める ★軸足のブレーキはインパクトの質の向上にも貢献する ★股関節の動きで蹴り足の運動方向を調整する ★飛距離を最大化するには?
などなど気になるタイトルが目白押し!

この本をしっかりと頭に入れて正しいキックの練習をすれば思い通りのキックが蹴られる選手になれること間違いなし!

【書誌情報】
『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』
著:田所 剛之

著者・田所剛之氏は東京大学でスポーツバイオメカニクスを専攻し、卒業研究ではサッカーのインサイドキックを力学的に研究しました。在学中は、東京大学サッカー部のフィジカルコーチも務めました。また、学生ながらパーソナルトレーナーとしても活動しており数多くのJリーガーを指導しています。本書では感覚的なことは一切排除をして、物理学的に正しいとされるキックの理論を記す。いままでは慣習的に正しいとされていたけれども、物理学的には間違っていたキックの常識にメスを入れます。本当に強いシュートの蹴り方、本当にゴールに繋がるフリーキックの蹴り方、本当に味方が求めるパスの蹴り方を身に付けられます。オールカラーでイラストと写真をふんだんに使い、サッカープレイヤー、サッカー指導者だけでなくサッカー少年・少女の保護者の方などにも理解しやすい作りとなっています。

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