鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備で、太平洋戦争中に旧日本軍が使ったとされるトーチカ(防御陣地)の解体が進んでいる。戦後、トビウオ漁の見張り台に活用されたトーチカは、国策で造られ、国策によって消えることになる。
秋晴れが広がった19日、上空からトーチカが立つ岳之腰(標高71メートル)の造成も始まっている様子がうかがえた。防衛省によると、解体は18日に本格化、20日ごろ終わる見通し。市は職員の立ち会いが認められず、記録保存を求めている。
トーチカはコンクリート製で、高さ3.8メートル、直径3.6メートルの円筒形。1941(昭和16)年12月~42年2月にかけ、地元から建設作業員を手配した記録の写しが市立図書館に残る。
岳之腰の造成で種子島から望む島影が変わることもあり、八板俊輔市長は「そこにあるべきものがなくなるのは悲しい」と話している。