クマ食害激増、昨年比13倍 青森・大鰐町 全域に出没

大鰐町でわなにかかったツキノワグマ(町提供)

 青森県大鰐町は19日、今年のクマによる農作物の被害が16日現在で前年比13倍の39件、昨年ほぼゼロだった被害額は約181万円に上っていると明らかにした。町中央公民館で開いたツキノワグマ対策を話し合う緊急連絡会議で報告した。

 会議は町や県、黒石署の各担当者や県猟友会大鰐支部のメンバーなど16人が出席。パトロールの強化や連絡体制について確認した。

 農作物被害は三ツ目内9件、森山8件、早瀬野5件、唐牛、苦木、島田3件など町内のほぼ全域に出没している。リンゴ畑が中心で、人的被害はまだない。町によると目撃は62件。

 被害防止策として、食害に遭った農家にクマが嫌がる臭いがする液体を無償で配布したほか、猟友会が持っているわな25基全てをリンゴ畑などに設置しているという。

 町農林課の田中利幸参事は取材に「これからリンゴのふじの収穫最盛期を迎える。わなでの捕獲やパトロールで被害を抑止していく」と話した。県猟友会大鰐支部の山中泰彦事務局長(64)は「先日はクリの木の下でもクマを見た。リンゴ農家だけでなく山に入る人も気を付けて」と呼びかけた。

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