ゴルフ、野外活動、動画発信… ユニーク部活で存続目指せ 鯵ケ沢高(青森県)

顧問のピンクレディさん(左)と動画撮影に臨むTikTokサークル=12日、鯵ケ沢町のはまなす公園近く
岩木山お山参詣最終日、登山客を案内するパトロール隊のサポートに当たった野外活動部の飛内教諭(左)と白取さん=9月(同教諭提供)
広々とした天然芝のグラウンドで日々練習に励むゴルフ部=11日午後

 入学者が本年度から2年連続で定員の半数未満(19人以下)になると、募集停止の協議に入る「地域校」に指定されている青森県鯵ケ沢町の鯵ケ沢高校。初の全国募集を行った本年度の新入生は16人にとどまり、県外からの入学者はなく、存続への道に黄色信号がともる。そんな中、学校の魅力向上に向け、昨年度から力を入れてきた特色ある部活動の推進が実を結びつつある。

 昨秋、初心者の1年生3人で立ち上げたゴルフ部は部員7人に成長。放課後はかつて硬式野球部のグラウンドだった天然芝でのびのびと練習に励んでいる。土日祝日は提携した岩木山麓のゴルフ場で、コースの管理などを手伝いながら練習している。部長の高橋大翔(はると)さん(2年)は「天然芝で練習できる環境はめったにない。土日祝日にはどれだけ実力がついたか、ゴルフ場で確かめることができる」と充実の表情で話す。

 まだ部員1人ながら、鯵ケ沢周辺の大自然を生かしたユニークな活動で注目されるのが野外活動部。長年の野球部の指導にキャンプや釣り、登山を取り入れた経験があり、スノーボードも得意な飛内伸哉教諭が今春赴任。同部顧問となり、部長の白取大造さん(2年)とフィールドに繰り出してキャンプをしたり、ザリガニや魚を採集したりしてきた。町が提供した名産の淡水魚・イトウとともに校内での飼育にも挑戦している。

 飛内教諭は「最近の子どもは野外活動を経験することが少ない。海、山、川のアクティビティーの中で教えられるものがあったら。情操教育になるし、自分が親になったときにも役立つと思う」と語る。白取さんも自然豊かなつがる市森田地区の出身だが「(活動を通じて)森田では見たことがなかったカゲロウも見た。冬場のスノーボードも楽しみ」と日ごとたくましくなっている。

 アイドルユニット「りんご娘」のリーダーのピンクレディさんが月1回ペースで来校し、動画投稿アプリTikTok(ティックトック)を活用した情報発信を指導するサークルも新機軸。男女12人が活動中で、今月中の臨時生徒総会を経て部に昇格予定だ。

 今月12日にはメンバーがピンクレディさんと初めて校外に出て、はまなす公園近くで撮影を行った。サークルの中心的存在の髙橋理輝さん(3年)は「りんご娘さんの力を借り、町と鯵ケ沢高校のPRにつなげたい。県外からも新入生が来てくれれば」と話す。

 同校は今年創立80周年の節目の年。21日には記念式典を控える。川浪泰浩校長は「学校の魅力づくりのため一生懸命取り組んでいる。小さな学校でもいろいろな活動ができると広く知ってほしい」としている。

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