連載コラム【MLBマニアへの道】第6回:名手アレナドはデビュー以来初めてGG賞を逃す アレナドでも届かなかった16年連続受賞の伝説的三塁手

写真:アレナドの連続ゴールドグラブ賞は10年で途切れることに

10月18日(日本時間19日)、MLBは今季のゴールドグラブ賞(GG賞)のファイナリストを発表した。投手と野手の9ポジションに、2022年から採用されているユーティリティ部門を加えた10ポジションで、それぞれ3人ずつのファイナリストが発表されている。今回名前が挙がっているのは両リーグあわせて57人の選手。60人ではない理由は、マウリシオ・デュボン、ムーキー・ベッツ、キム・ハソンの3選手がメインポジションの他にユーティリティでもファイナリストになっているからだ。

今はまだファイナリストの段階で、実際の受賞者が発表されるのは11月5日と少し先になる。しかし、ここに名前が入っていないことで、とある名選手の連続受賞記録が途切れることが確定した。その名選手とは、カージナルスのノーラン・アレナドだ。

2013年にロッキーズでメジャーデビューした三塁手のアレナドは、1年目から極めて高い守備力を誇り、昨年まで10年連続でナ・リーグのGG賞を受賞。10年連続受賞は、アンドリュー・ジョーンズやイチローらを含め歴代13人しかいない偉業だ。

そんな連続受賞記録が止まってしまったのだが、ナ・リーグには彼に代わる守備の名手が現れている。2020年にデビューしたパイレーツのキブライアン・ヘイズは、こちらも1年目から好守備を見せており、2021年以降はDRSやOAAといった守備指標でアレナドを上回る数値を残してきたがGG賞の受賞には至らなかった。しかし今回はヘイズが受賞する可能性が高いだろう。現在32歳のアレナドがファイナリストから外れ、ヘイズら20代半ばの選手が台頭してくるのは世代交代を感じさせる。

一方で、キャリア晩年まで世代交代を許さなかった名手が存在する。それが「人間掃除機」と呼ばれた史上最高の守備型三塁手ブルックス・ロビンソンだ。オリオールズ一筋で23年のキャリアを過ごしたロビンソンは、23歳のシーズンだった1960年に、当時創設4年目だったGG賞を初受賞すると、そこから1975年まで16年連続で受賞。GG賞16回というのはグレッグ・マダックスの18回に次ぐ歴代2位タイであり、さらに16年連続というのはジム・カートに並ぶ歴代1位タイ記録でもある。

現役選手で連続受賞が続いていた選手は、アレナド以外では3年連続のマックス・フリードのみだったが、そのフリードも今回のファイナリストからは外れた。連続受賞するためには、故障に強く、常に高い守備パフォーマンスを保たなければならない。アレナドでも届かなかったロビンソンらの壁だが、到底更新不可能に思える16年連続受賞に、いつかまた挑戦する選手が現れることを期待したい。

文=Felix

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