【菊花賞/追い切り診断】ソールオリエンスを上回る「S」の最高評価 「張りのある馬体で気配絶好」

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■タスティエーラ

【中間調整】共同通信杯(4着)から中2週と厳しいローテだった弥生賞で絶妙なレース運びを見せ、重賞初制覇を果たした。既に2戦使った状態で消耗度合いがどうかと思われた春のクラシック2冠は、皐月賞でまず2着好走。そして日本ダービーでは4番手から早めに抜け出し、ソールオリエンスの猛追も退けクビ差で先着。この世代の頂点に立った。秋はこちらも菊花賞が最大目標。セントライト記念から始動する可能性もあったが、牧場で背中の張りや歩様の乱れが見られたことから9月の復帰は見送った。他の厩舎なら使ってきたレベルの軽微な症状だったようだが、このあたりは堀厩舎流の判断だろう。

◆【菊花賞2023予想/追い切り診断】ソールオリエンスがまさかの……「B」辛口評価 「前進気勢がやや強く、距離の壁が立ちはだかるかも」

菊花賞へは直行することとなり、9月21日に美浦へ帰厩。当初はじっくりとケアを施され、28日の中間初時計ではいきなりウッド3頭併せで最先着を果たす。結果的に酷暑を避けてスライドしたことがいいほうに出たようだ。1週前のウッド併せ馬では力強く溜めの利いた走りながら自然と速いラップを刻んで進み、目標の準オープン馬を置き去りにしての先着を果たしている。全体時計は自己ベストを更新。

【最終追い切り】レース当週は今回初コンビとなるJ.モレイラ騎手が騎乗し、ウッドで併せ馬。1週前ほどではないものの、体調の良さを再確認するようにある程度速いペースで2頭を追走し、最内に入った直線では入口の時点で先頭に出る勢いを見せる。そのまま抜群の手応えを保ち、外の2頭が伸びてくるとその分反応してギアを上げ、最後はそれぞれを半馬身ほど突き放しての最先着フィニッシュを果たした。

【見解】ダービー馬がぶっつけで菊花賞参戦は異例のローテ。本来の予定と異なることもあり、不安を覚えるところだが帰厩後の動き、そして張りのある馬体を見る限りまったく問題なし。結果的に過去最悪と言えた今年の酷暑を避け、余裕のある間隔で調整できたことは吉と出たと考えていい。絶好の気配で2つ目の栄冠獲りへ向かう。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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