【菊花賞/追い切り診断】タスティエーラに迫る「A」の高評価 「前走以上の好気配で親仔制覇へ挑めそう」

Getty Images

■サトノグランツ

【中間調整】“東上最終便”の京都新聞杯で鮮やかな差し切り勝ちを収め、日本ダービーへ勇躍進出。しかし本番では大外18番ゲートが仇となり、好発を決めるも位置取りは後ろに。腹を括っての待機策が裏目に出て、0秒7差の11着に終わっている。放牧休養後、秋初戦だった前走・神戸新聞杯では中団から馬群を縫って長くいい脚を繰り出し、コースレコード更新のオマケつきで重賞2勝目を挙げてみせた。

◆【菊花賞2023予想/追い切り診断】サトノグランツに並ぶ高評価は想定“6人気”前後 「成長カーブ急上昇。充実しまくりの感」

その後中3週となる菊花賞へは在厩で調整。レース翌週の28日から乗り運動が再開され、30日には坂路15-15とはいえ時計になるところをやれたあたり、レコード駆けの反動は軽微でスムーズに回復できたようだ。1週前はCW3頭併せを行い、直線では左右の間に割って入る形。余力十分に加速し、オープン馬と併入、2歳未勝利は置き去りにした。馬場が荒れた時間帯だったことを考えればラスト1F11秒1(強め)という時計もかなり優秀と言える。

【最終追い切り】1週前の併せ馬で負荷は十分に掛かっており、レース当週は坂路単走で微調整に徹した程度だった。まったく無理をさせなかったが、軽快な脚捌きで登坂。促されてのギアチェンジに少しだけ手間取ったが、最後は四肢を柔軟に使って豪快に伸びていた。

【見解】常に稽古で走るタイプ。ギアチェンジで一瞬手間取るのは許容範囲で、最後の伸びの力強さ、豪快さで相殺以上と言える。レコード駆けの反動がどうかというところだが、調教過程や動きからはまったく不安は感じられない。この馬同様、前哨戦でレコード駆けしたマスクトディーヴァが秋華賞で鋭い脚を繰り出し2着に入れたように“9月阪神の芝が高速過ぎただけ”と考えてもいいのではないか。前走以上と思われる好気配で、父サトノダイヤモンドとの親仔制覇へ挑めそう。

総合評価「A」

◆【菊花賞2023予想/追い切り診断】ソールオリエンスを上回る「S」の最高評価 「張りのある馬体で気配絶好」

◆【菊花賞2023予想/追い切り診断】ソールオリエンスがまさかの……「B」辛口評価 「前進気勢がやや強く、距離の壁が立ちはだかるかも」

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

© 株式会社Neo Sports