臨時国会で所得税巡る増税と減税を並行審議へ 「まるで整合性とれない」 与党内からも懸念の声

岸田文雄首相(資料写真)

 20日に開会した臨時国会で政府が打ち出す防衛力強化のための増税と物価高対策のための減税が並行審議される見通しとなった。対象はともに所得税。増税・減税という真逆手法を時期も同じく模索する格好で「同じ財布(所得税)の扱い方としてまるで整合性がとれない」(立憲民主党議員)と野党から追及を受けるのは必至だ。与党内からも懸念の声が上がっている。

 22日投開票の衆参補選で自民候補の苦戦が伝えられていることから国会内では「岸田(文雄)総理が巻き返しに躍起になっている」(自民の閣僚経験者)との見方がもっぱらだ。「『増税メガネ』との自身へのやゆ打ち消しのために減税へ暴走している」(野党幹部)との皮肉も聞かれる。

 政府は防衛力強化財源として2023年度からの5年間で総額43兆円を防衛費に投じることを閣議決定。この中に財源として所得税のほか、法人税、たばこ税を段階的に増やし27年度以降は毎年1兆円強を確保する方針を盛り込んだ。

 その一方、岸田首相は物価高対策として所得税減税の「一時的な実施」を決断。20日には、自民、公明の両与党幹部を官邸に呼び、具体化を指示した。

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