城南公園に天体観察室 富山市教委が計画案

富山市教委が設置を提案した天体観察室(市教委提供)

 富山市城南公園に新たなドーム型の天体観察室が整備される見通しとなった。市教委が20日、富山市科学博物館展示更新計画検討委員会で計画案を示した。固定型の望遠鏡や天体を撮影する高感度カメラを導入する予定で、2029年度の運用開始を目指す。市教委は11月と来年1月にも会合を開いて、計画案について意見を聞き、同3月に計画を策定する。事業費は未定。

 城南公園は科学博物館と隣接する。観察室は高さ、幅、奥行きがそれぞれ約4メートルと小型で、10人ほどが利用できる。高感度カメラは暗い天体の色や形を鮮明に捉えることができ、室内のモニターに映し出すことで複数人が同時に観察できる。

 18年に策定された基本計画で、新たな天体観察施設を整備する方針が示されていたが場所の決定には至らず、5月の第1回会合で計画をゼロベースで見直すとしていた。設置場所を城南公園にしたことについて、市教委の担当者は小中学生の利便性や学芸員の配置などを考慮したと説明した。

 計画案では、館内全ての展示や天体観察室を6期に分けて整備する。科学実験ショー用のスペースを設け、光の性質を学ぶ体験型設備、富山で足跡の化石が見つかった恐竜「アンキロサウルス類」の骨格標本などを新たに設置する。

  ●前倒し求める声

 天体観察室の整備は最終の6期を予定している。委員長の青木一真富大学術研究部理学系教授は、今年3月に科学博物館内でプラネタリウムがリニューアルされたことに触れ「連動して運用することを考えて、観察室の整備は前倒しすべきだ」と提案した。観察室の設置場所や規模に関する意見は出なかった。

 委員からは「体験型設備の導入は早めにした方がいい」「収蔵品だけでなく、学芸員による研究成果の披露にも力を入れてはどうか」とする意見が出た。

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