ボーイズグループ戦国時代、なぜJO1が強い? 改めて検証

日本国内で増え続けている「ボーイズグループ」。なかでも今、実力をつけているのが、2020年にデビューした11人組グローバルボーイズグループ・JO1だ。11月には4都市をまわる初のアジアツアー、そして同月24・25日の2日間は初のドーム公演を控えるなか、来阪したメンバーの川西拓実、鶴房汐恩に話を訊き、その魅力を探った。

左からJO1の鶴房汐恩、川西拓実

■ SNSのトレンドワード常連、CD売上げも好調

コロナ禍でデビューし、思うように活動ができなかったJO1。「自分のなかで、今は何をするよりもライブをしているときが1番楽しい」と笑顔を見せる川西

ボーイズグループは増えているものの、日本国内では数少ない「10人超え」の大所帯グループ。オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』から結成され、なかにはダンス未経験者もいるなかデビュー4年目の現在、彼らのパフォーマンスに数多くの人が魅了されている。

学生時代は野球に打ち込んでいたという川西も「ダンス未経験者」の1人。2022年5月にインタビューした際、「僕らはパフォーマンスを披露させていただく1回1回が勝負。大袈裟じゃなく、毎回命がけでやらないとダメだと思っています」と、胸の内を語っていた。

それから着実に場数を踏み、9月20日にリリースした3枚目の最新アルバム『EQUINOX』ではオリコン週間音楽ランキング3冠を達成。シングルに至っては、デビュー作から7作連続1位を獲得し続けている。また『紅白歌合戦』や『うたコン』(NHK)、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)、『CDTV ライブ!ライブ!』(TBS)とメディアでの露出も増え、それぞれでしっかりと魅力を発揮。関連ワードのSNSでのトレンド入りは今や日常茶飯事だ。

■ パワー系グループと一線を画す「儚さ」

グローバルボーイズグループ・JO1(C)LAPONE Entertainment

飛び交う評価のなかSNS上で多く見かけるのが、「儚さ」「上品」というワード。EXILEらが所属する「LDH」をはじめ、10人超えのボーイズグループといえば、その人数ならではのパワーのあるステージパフォーマンスが真骨頂であり理にかなっているが、これは少し意外だった。

JO1は高身長なメンバーも多く、アグレッシブな楽曲もこなす一方で、グループで魅せる動きのしなやかさや表現力、そのギャップに惹かれる人も多いようだ。新曲『Venus』のMVでは、メンバーそれぞれの世界観も引き出され、その強みが存分に生かされている。

また、人数が多いということに苦労もあるそうだ。「11人いるとパート割りも複雑で、大変なことをしているなって思うときもあります。最新アルバム『EQUINOX』では初のユニット曲を収録したんですけど、余裕をもって望むことができました」と川西。

それに続いて鶴房も「ダンスの構成で、絶対無理!って思うことも正直たまにあったり(笑)。身体能力でカバーしているところもあります。数秒単位で移動して、11人だと本当に細かくなるので」と、その難しさを語る。

グループ内では、ダンスを得意とするメンバー、歌唱面でもボーカルやラップと、一応に担当があるが、もはや全員が「オールラウンダー」と言ってもいい。その証拠に、ユニット曲では主にラップを軸としていた鶴房がボーカルとして参加、また川西は2024年の夏に主演映画の公開を控えており、違ったジャンルにも活躍の幅を広げている。

■ 海外アーティストから学んだ「プロ意識」

JO1の暴走担当でもある鶴房(右)。ラップ担当ながら透き通った歌声にも定評がある

置かれている環境に目を向けると、日韓共同で設立した「LAPONE Entertainment」に所属しており、韓国の音楽番組の出演経験も多いJO1。世界の音楽チャートでも評価されている「K-POP」、アーティストたちを間近で見たときに衝撃を受けたという。

「その場にいるアーティストの方々のプロ意識が半端じゃなかったんです。舞台にいるときも降りてきてからも、変わらずに『見られている』っていう意識をものすごく感じました」と川西。「世界で評価されているということが、そこで分かったというか。厳しい世界だということも身にしみて感じたのと同時に、もっと頑張らないとって」。

韓国だけではなく、コロナ禍が明けて海外への行き来がしやすくなってからはLAやバンコクなど、海外公演の場数も増えている。デビューが2020年のコロナ真っ只中、思うように活動ができなかった当時について「宙に浮いているようだった」と川西は話す。「まだまだな部分もあるんですけど、やっぱりライブをし始めて、感覚が変わったと思いますね」。

今や国内外問わず増え続けている「ボーイズグループ」。彼らはそのなかで、どのような未来を描いているのだろうか。「世界は移り変わっていくし、流行もある。でも、これからも(流行に)飲まれたくないという思いがあります。ほかのものに染まらず、JO1であるということを大切にしていきたい」と決意を語る鶴房。

川西は、「僕は良いバランスでずっと仲良くいたいです。石積みってあるじゃないですか。あれってちょっと触ったら崩れちゃうけど、絶妙なバランスで積み上がっているんと思うんです。僕のなかではそのイメージ」と明かす。これには鶴房も共感し、「できないところは補って助け合っていけたらなと」。

「11人であること」をものにするチームワークや海外経験での視野の広がり、そして培った表現力を武器に飛躍を続ける彼ら。アーティストのひとつの証とも言える「ドーム公演」を経て、また大きな成長を遂げるのは間違いないだろう。

左からJO1の川西拓実、鶴房汐恩

JO1の初となるドーム公演『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK:RISE in KYOCERA DOME OSAKA’』は11月24・25日の2日間、「京セラドーム」にておこなわれる。チケットの一般発売は11月11日から、公式サイトにて。

写真/南平泰秀(一部提供写真)

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