春の高校バレー県予選前特集 女子(1) 打倒・東龍へ、大分商業が王座を目指す 【大分県】

来月3日、全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)の県予選が始まる。女子は28チームが参加し、夢舞台を目指す。24連覇を目指す東九州龍谷(東龍)を優勝候補筆頭に、対抗馬の大分商業も確実に絶対王者との差を縮めている。今大会は長年続いた4強の壁を崩した大分西や別府翔青がシードを獲得するなど県内の勢力図に変化が起きた。今回は4強の戦いを展望する。第1回は第2シードの大分商業、打倒・東龍に向けて成長を遂げている。

長い間、東龍の「二番手」に甘んじているが、5月の全九州総合選手権で3位、9月の天皇・皇后杯九州ブロックでは社会人クラブに勝利し、Vリーグ2部のチームに敗れはしたが互角の勝負を演じるなど、着実に力を付けている。いつまでも「シルバーコレクター」でいるつもりはない。

森栄一郎監督が「九州でも力があることを証明できたのは、昨年からの流れがあるからこそ」と話すように、昨年度は新チーム立ち上げの最初の公式戦で新型コロナウイルスの感染拡大で棄権敗退し、その後はシード権を獲得できずに低迷した。苦しむ先輩の背中を見てきた後輩が、「打倒・東龍」のバトンを託され、現チームの主軸となり復調した。森監督のスタイルであるレシーブ力は浸透している。機動力のある選手たちがレシーブ力を磨き、どんな相手に対峙しても大崩れすることはなくなった。

着実に成長を遂げている

これまで同様に守備の崩れないチームであるが、今年は戦略がはっきりしている。変化の読みにくい強烈なジャンプサーブを打てる猪原悠莉明(3年)や野中美空(2年)の他に、フローターサーブやハイブリッドサーブなど選手それぞれが多様に打ち分ける。相手を崩して攻撃の選択肢を少なくし、ブロックとスパイクレシーブの守備から切り返しの攻撃で得点を奪う。猪原は「サーブが走ればチームは勢いに乗れる」と手応えを感じている。

昨年の春の高校バレー県予選では、2014年以来、8年ぶりに東龍からセットを先取するなどじわりじわりと実力差を縮めている。今大会はレシーブの安定はもちろんだが、ビッグサーバーによる攻めのサーブで主導権を握り、得点につなげる流れをつくる。コート脇に掲げる、「もう負けたくないし、春高に絶対に行く」の横断幕の文字は、現役選手だけでなくこれまで歴史をつないだ先輩たちの思いでもある。新しい歴史を生み出す準備はできている。

練習の雰囲気から、仕上がりの良さを感じさせる

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