国際学術論文ジャーナル「Journal of Digital Life」(JDL)は、前年度に掲載された論文から特に優れたものを選出して著者らを表彰した。授賞式は福岡市の九州産業大学で先月開催された「The Conference of Digital Life vol.1」で行われた。
4つの研究分野ごとに最も優れた論文を表彰する「Digital Life Outstanding Paper Award」のソーシャルサイエンス(社会科学)分野では、学生の“先延ばしグセ”と携帯電話依存症などの関連性を調べた上海交通大学の石梦瑶(シー・モンイャォ)氏らの論文が選ばれた。
シー氏のコメント「非常に光栄であり、大変うれしく思います。デジタル化が学生生活と密接にかかわるようになると、生活様式が変化して学生の身体的、精神的な健康に影響を及ぼすことになります。私たち研究者は学生の心身の健康を維持し、向上させる方法を調査していく所存です」
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また、ライフサイエンス(生命科学)など3分野については該当なしとした。
投稿時点に満40歳以下の研究者が第一著者である論文から特に優れたものを選出する「Digital Life Young Researcher Award」には、ラムネ菓子がeスポーツの技量に影響するとした西日本工業大学の古門良亮講師、バスケットボールの勝敗にかかわる要素を分析した福岡大学の長嶺健助教、ゲーム企業の姿勢と業績の傾向を調べた千葉商科大学の伊藤泰生准教授が選ばれた。
古門氏のコメント「受賞できて非常に光栄です。一緒に研究したメンバーに心から感謝を申し上げたい。今後も研究を頑張ります」
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長嶺氏のコメント「今後も研究に情熱を注ぎ、社会に貢献できるよう努力し続けます。若手研究者として新たな知識を生み出し、科学の発展に貢献していく覚悟です」
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伊藤氏のコメント「本研究では『探索と活用』という組織理論を深掘りしましたが、思うように分析が進まずに悩みました。悪戦苦闘して作り上げた論文を評価していただき、自信にもつながりました」
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将来性や新規性等に優れた論文と著者に贈られる「Digital Life Special Award」には、7人制ラグビーにおける防御力の重要性を明らかにした名古屋大学の佐々木康教授らが選ばれた。
佐々木氏のコメント「日本人選手の活躍もあり、集団スポーツのパフォーマンスをいかに評価して『見える化』するかは興味深いところです。JDLのようなプロアクティブなジャーナルがスポーツ実践研究や分析ビジネス機会を創出することを祈念しております」