「十五郎穴」国史跡に 茨城・ひたちなか 国内最大規模の集団埋葬墓 文化審答申

十五郎穴横穴群が国指定史跡になることを喜び合うひたちなか市生活・文化・スポーツ公社の稲田健一文化課長補佐と同横穴群を所有する西野茂行さん(右)=同市中根

国の文化審議会(佐藤信会長)は20日、茨城県ひたちなか市の「十五郎穴横穴群(じゅうごろうあなよこあなぐん)」を史跡に指定するよう、盛山正仁文部科学相に答申した。近く答申通り指定され、茨城県の国指定史跡は計34件、同市では3件目となる。

同横穴群は、那珂川支流で同市中根の大川と本郷川に挟まれた舌状台地南側に形成された三つの台地の崖面に造られた横穴墓群。大きく三つの支群に分けられ、北端の台地から「指渋(さしぶ)支群」「館出(たてだし)支群」「笠谷(かさや)支群」と呼ばれている。

古墳時代終末期から平安時代初頭にかけて造られたとみられ、国内最大規模の集団埋葬墓。1975年代からの本格調査で274基が確認されており、未知のものを含めると総数500基以上と推定される。

今回は北から南西の崖面に広がる約5万6782平方メートルを指定。出土品には人骨のほか、正倉院北倉(奈良市)の宝物に似た「刀子(とうす)」や食膳具に使用された「須恵器(すえき)」などが見つかっている。同横穴群は良好な状態で保存されている。

© 株式会社茨城新聞社