福井県でクマ出没件数が急増、専門家「今後も人里に大量出没の可能性」 注意すべき時間帯や状況は

山里近くに仕掛けたおりの前をうろつくクマの成獣=2023年7月5日早朝、福井県福井市内(県提供)

 2023年度の福井県内のクマの出没件数は9月以降に急増し、10月20日午後1時現在で381件と、既に前年度1年間の314件を上回っている。福井県自然保護センター(大野市)でクマ対策などを担当する主事の服部耕平さんは「今後も人里に大量出没する可能性がある」と警鐘を鳴らす。県外では死亡事案も発生しており、特に早朝や夕暮れ時はクマと遭遇しやすいとして注意を呼びかける。

 県内の9、10月の出没件数は149件に上り、前年同期の2倍を超えている。服部さんによると、クマの餌となる奥山のブナやミズナラの実が不作で、大量出没により人身被害が相次いだ2019、20年度と似た状況という。20年度は奥越など山間部だけでなく福井市や坂井市の平野部でも出没が相次いだ。

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 クマは夜間を中心に動き回ることから「クマと人の行動時間が重なる朝夕に不要不急の外出を避けることが大切」。外出する場合もクマ鈴やラジオなど音が出るものを携帯し、「クマに自分の存在を知らせて」とアドバイスする。

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 また、犬の散歩時も注意が必要という。「犬を連れていると安心だと思うかもしれない。しかし、犬がほえるとクマが攻撃されると感じて興奮し、襲ってくる可能性がある」と指摘する。

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