齋藤飛鳥「半グレとお付き合いしている役だなんて…」。佐々木蔵之介との共演エピソードも――「マイホームヒーロー」インタビュー

佐々木蔵之介さんが主演を務めるドラマイズム「マイホームヒーロー」が、10月24日からMBS・TBSほかにてスタートします。2017年より「ヤングマガジン」で連載をスタートし、累計330万部を突破。過激なテーマゆえ、一部では「実写化は不可能では?」ともうわさされた、山川直輝さんと朝基まさしさんによる人気漫画を実写ドラマ化したものです。さらに映画化も決定し、2024年3月8日に公開予定となっています。

しがない会社員・鳥栖哲雄(佐々木蔵之介)は、一人娘・零花(齋藤飛鳥)や愛する妻・歌仙(木村多江)とともに穏やかな毎日を送っていましたが、娘の彼氏を殺害して殺人犯になってしまいます。一線を越えてしまった哲雄を待ち受けるのは、冷徹で残忍な闇社会の半グレ組織でした。娘を守るために殺人犯になった父と、夫の秘密を守り、支える妻。そして何も知らない娘。サラリーマンVS半グレ組織という次々に巻き起こる日常ではありえないノンストップファミリーサスペンスです。

TVガイドWebでは、哲雄と歌仙の一人娘を演じる齋藤飛鳥さんに、ロケでのエピソードや役どころについて伺いました。

――演じた鳥栖零花の役柄について教えてください。

「零花ちゃんは普通の大学生で、ちょっと生意気だけれどもかわいらしいところもある、愛くるしい女の子です」

――出演が決定した時のお気持ちをお聞かせください。

「私の周りにもこの漫画に夢中になっている方々が多く人気作品ということで、零花ちゃんという重要な役をいただけたのはとても光栄です。しっかりと原作を読み込んだところ、大好きな漫画作品の一つになりました」

――最初に台本を読んでみていかがでしたか。

「原作の面白さとは裏腹に、どう映像にするのかを考えていました。漫画で作り上げた物語なので、実写ではどう撮るのか台本を読んでもイメージができませんでした。現場に入ってからは『こうやって作り上げるのか!』と、できるまでの過程を想像していくのが楽しかったです」

――原作を読んだ時に「好きな作品になった」とおっしゃっていましたが、どのあたりが気に入りましたか。

「人の生死が描かれている作品やギャング系の作品が好きで、本作はその要素がすべて入っていますよね。しかも、まさかの半グレとお付き合いしている役だなんて、ぜひ演じてみたいと思いました」

――零花を演じるにあたって大事にしたことはございますか。

「本作はサスペンスやミステリーなどいろいろな要素があると思いますが、どんなシーンも根底には必ず愛があると感じました。零花ちゃんは両親の愛をたくさん受けて育っている女の子です。愛されていることも、自分が家族を愛していることも忘れず、演じる上でそれがプラスになったらいいなと思い、愛を意識してお芝居に臨みました」

――原作の零花をどのくらい意識されましたか。

「意識したのは半々ぐらいです。零花ちゃんというキャラクターの持っている性質的な面は頭に置きつつ、できるだけ意識はしていましたが、話している時のポーズなどは寄せすぎず、自然になるようにお芝居をしました」

――実際に演じてみて難しかったシーンや、大変だったところがあれば教えてください。

「哲雄さんのハラハラするシーンや重たい雰囲気が漂っている中で、零花ちゃんが出てくるシーンは少しクスッとくることが多くあります。零花ちゃんの役割は、話が重いままにならないよう空気を軽くしていくことだなと感じています。周りとのテンポは蔵之介さんが教えてくださったり、監督が細かく教えてくださったりで、つまずくことはなく楽しくお芝居ができました」

――感情の作り方や心の揺れなど、気持ちを作る上で苦労した点はございますか。

「父親が人を殺したということを私自身は知っていますが、零花ちゃんは知らずに生活しているというお芝居をしなくてはならないので、零花ちゃんがほんわかしすぎてしまうと、哲雄が人を殺したことを知っている視聴者にも臨場感が伝わらなくなってしまうと思い、空気を読みながら演じました。とてもやりがいがありました!」

――演じていて、ご自身と零花が共通する部分などございますか。

「零花ちゃんは気分屋な面があると思いました。お父さんの帰りが遅いと、お母さんに『先にご飯を食べようよ』と言ってしまうタイプですよね。私も似たタイプかもしれません(笑)。演じていてもセリフ一つ一つで、私もよく言う言葉だなというのは何度かあった気がします」

――現場の雰囲気や撮影の様子、共演した両親役の佐々木蔵之介さんや木村多江さんとのエピソードもあればお願いします。

「皆さん一流の方たちばかりだったので、テキパキと撮影が進みました。蔵之介さんは初めてご一緒したのですが、事前に私のことを調べてきてくれたらしく、たくさん会話をしてくださいました。多江さんは、最初から私のことを飛鳥と呼んでくださって、スタッフさんにも『私の娘はすごいのよ!』と言ってくれてかわいがってくれました。本当の母親のような温かい気持ちを感じたので、安心して役に入ることができました。お二人とも近い距離感で接してくださってうれしかったし、そのおかげで終始和やかな空気で撮影することができました」

――佐々木さん演じる哲雄と、木村さん演じる歌仙のキャラクターについての印象をお聞かせください。

「哲雄さんは威厳のあるようなタイプではないですが、実はものすごく冷静で頭の回転も速いし、博識なのに実はそれを隠しているみたいなところがすてきだと思います。歌仙さんは冷静に見えたり賢く見えたりしますが、実は抜けていて突拍子もないことを言い出したりしますよね。それが哲雄さんの助けになることもあるという。この夫婦のバランスは抜群だと思いますし、蔵之介さんと多江さんが並んだ時の画や、お話している時の空気感もピタッとハマっている感じがするので、お二人が演じたということも含めてすてきな夫婦だなと思います」

――零花と両親の関係で感じたことを教えてください。

「原作を読んだ段階で、零花ちゃんは愛されて育っているなというのはもちろん、零花ちゃん自身もご両親を愛しているというのが伝わりました。このセリフは愛情から出てきた言葉なのかなと、演じてみて初めて気づくこともあったので、零花ちゃんって家族を大事にする素直ですてきな子だなと、あらためて感じました」

――新たな角度から家族というものを描いている本作ですが、作品を通してあらためて家族愛について感じたことはございますか。

「私も乃木坂46というグループを卒業して自身の環境の変化が大きくあった時期なので、不思議と家族のことを考えてしまう時間が増えていました。零花ちゃんが作品の中でお父さんに手の込んだ誕生日プレゼントを毎年あげているように、私も自分の両親の記念日に今よりも大きな何かをしていきたいなと思いました」

――実写にするのが難しいと言われた作品ですが、映像になったものを見ていかがでしたか。

「集まった俳優の皆さんがすごい方たちばかりなのもあり、このシーンはどうやって撮るのかなと思うシーンも見事に再現されていました。実際に動いているとなると迫力もすごいですし、映像に引き込まれていきました」

――ドラマだけでなく、映画も公開されるということで話題を呼んでいますね。

「ドラマも細かいところまでこだわって作られているので、劇場の大きなスクリーンで見終わった後はどんな感情になるのか、私自身も今からすごく楽しみにしています」

――零花を演じてみて、齋藤さんにとって鳥栖零花はどんな存在になりましたか。

「零花ちゃんだけ何も知らずに能天気に過ごしていたり、お父さんが頑張っているのを知らずに少し反抗したりするので、全体を知っている視聴者側からすると気が進まないところがあるかもしれないですが、演じた身としては、零花ちゃんみたいな人間は格好よくてすてきだなと思っています。表で何を言っていても、受けてきた愛が根底にあるところや愛されてきた自覚があるところ、それによって生まれる心(しん)の強さがドラマでもしっかりと描かれているので、私も零花ちゃんのような心の強さを持ちたいなと感じました」

――最後に視聴者に向けてのメッセージをお願いいたします。

「どの役に感情移入できるか人によって全く違うと思いますが、どの視点で見てもいろいろな楽しみ方ができます。サスペンス的な要素や哲雄さんの巧妙なトリック、そして家族愛など、さまざまな楽しみ方ができます。いろいろな感情を抱いてお楽しみいただけるとうれしいです」

――ありがとうございました。齋藤さんが演じる零花ちゃん、とても楽しみにしています!

【プロフィール】

齋藤飛鳥(さいとう あすか)
1998年8月10日生まれ。東京都出身。しし座。O型。乃木坂46の1期生オーデイションに合格し、2012年に「ぐるぐるカーテン」でCDデビュー。主な出演作は、ドラマ「ザンビ」(日本テレビほか)、ドラマ「リモートで殺される」(日本テレビ系)、映画「映像研には手を出すな!」(20年)、映画「サイド バイ サイド 隣にいる人」(23年)など。

【番組情報】

ドラマイズム「マイホームヒーロー」
10月24日スタート
TBS 火曜 深夜1:28~1:58
MBS 火曜 深夜0:59~1:29
※初回は1・2話一挙放送
※TBS放送後にTVer、MBS動画イズムにて1週間見逃し配信

取材・文/山本恵代(TBS・MBS担当) 撮影/尾崎篤志 ヘア&メーク/秋鹿裕子(W) スタイリスト/市野沢祐大(TEN10) 衣装協力/PONTI(MAEDA DESIGN LLC.)、ODAKHA(S&T)、sharanpoi、Adlin Hue

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