「特定失踪者」早期帰国の実現を 東京の集会に300人 「最初で最後」から13年、家族ら「生きている間に会わせて」

失踪者、秋田美輪さんの姉吉見美保さんらが救出を訴えた集会=21日午後、東京都新宿区

 北朝鮮に拉致された疑いが否定できないとされる「特定失踪者」の支援団体が21日、被害者の早期帰国を目指す集会を東京都内で開いた。同様の集会を開くのは13年ぶり2回目。1985年に神戸市で失踪した秋田美輪さん=失踪当時(21)=の姉吉見美保さん(63)=愛知県=ら約300人が参加し、家族は「『お帰り』と抱きしめたい」「生きている間に会わせて」と声を震わせ訴えた。

 民間団体「特定失踪者問題調査会」が主催。同会は「拉致の可能性」を訴える家族らから申請を受け付けており、現在のリストは約470人。兵庫県内では秋田さんのほか、神戸の児童養護施設で育った金田龍光さんらが登録されている。

 13年前の集会には失踪者の両親ら70家族が参加したが、今回は兄弟ら約40に減少。調査会の荒木和博代表は家族の高齢化に触れ「前回を『最初で最後』としたが、この13年、進展はない。こんな集会はもう開けないかもしれない。早く帰国を実現させよう」とあいさつ。吉見さんは「過去に帰ってくるんじゃないかと期待したこともあったけど、何も進展していない。生きてる間に、とにかく取り返してほしい」と訴えた。

 ビラ配りやパネル展示、北朝鮮向けに放送する短波ラジオの公開収録なども実施。神戸市出身の拉致被害者、有本恵子さん=失踪当時(23)=の父明弘さん(95)らからも、ビデオメッセージが寄せられた。(末永陽子)

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