タクシー運転手、岩手県内で不足深刻 高齢化、コロナ離職響く

予約の電話が鳴り続ける岩手中央タクシーのコールセンター。運転手不足に直面する中、事業継続へ試行錯誤を続ける=盛岡市開運橋通

 人の往来が戻りタクシー需要が急回復する岩手県内で、業界は人手不足に直面している。運転手の高齢化に加え新型コロナウイルス禍での離職者が増えたためだ。今年は2019年から2割ほど減少し日常、観光利用に対応しきれていない。地域の交通弱者にとって欠かせない移動手段なだけに、専門家は柔軟な働き方の促進を求めている。

 盛岡市開運橋通の岩手中央タクシー(佐々木康太郎社長)のコールセンター。「はい、すぐにお伺いします」。朝から予約の電話がひっきりなしに鳴り、社員が手配を急ぐ。予約はコロナ禍前とほぼ同水準の1日約千件だが、集中すると配車できないケースもある。

 乗務を支えてきた高齢ドライバーは10年ほど前から徐々に離職した。コロナ禍もあって人材確保が難航し、18年に比べると約40人減った。

 ところがコロナの5類移行後、日常や観光需要が急速に回復。佐々木社長(51)は「労働力を確保できれば売り上げを伸ばせる状況だ。高齢者や男性の職場という印象を打破しなければいけない」と語り、定年延長のほか女性、若者の雇用促進を模索する。

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