和歌山県広川町で21日、江戸時代の安政南海地震(1854年)の際に津波から逃れる避難路を示そうと、闇夜の中で稲わらに火をともして村人を高台に導いた実業家浜口梧陵の故事を再現する「稲むらの火祭り」が行われた。
通常開催は4年ぶり。午後6時ごろから、町民ら約500人がたいまつを手に、高台の神社までの約2キロを歩いた。鳥居前に積み上げた稲わらに火を付けると大きな炎となり、拍手と歓声が上がった。
梧陵の子孫、浜口道雄さん(80)も一緒に歩き、「若い人もたくさん参加してくれて防災意識の向上に役立っている。世のため、人のためという梧陵の精神を忘れないでほしい」と語った。