元米兵支援基金創設へ 小泉元首相が表明

 小泉純一郎元首相は26日、都内で講演し、東日本大震災の「トモダチ作戦」に従事した際、東京電力福島第1原発事故で被ばくしたとして、東電などを相手に損害賠償訴訟を起こしている元米兵らを支援する基金を創設する意向を明らかにした。

 「日本に救援に駆け付けた頑健だった若者たちが、体をむしばまれてつらい思いをしている。支援の手を差し伸べないといけない」と語った。小泉氏は15〜17日に米国で原告の元米兵らと面会し、病状などを聞いていた。

 講演では「安全、低コスト、クリーンという原発推進論者の3大スローガンは全部うそだと分かった。政治家を引退してから、原発ゼロ運動にいそしむとは夢にも思わなかったが、私の生きているうちに原発ゼロを成し遂げたい」と強調、約800人の聴衆から大きな拍手を受けた。

 小泉氏は講演後、記者団の取材に応じ、オバマ米大統領が27日に被爆地・広島を訪れることを評価する一方、「核廃絶より原発ゼロの方が易しい。米国と日本が手を組んで原発ゼロをやったら世界が変わる」と訴えた。今夏の参院選で原発問題が目立った争点となっていないことについては「不思議でしょうがない」と嘆息した。

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