ガンダム“故郷”に立つ? ゆかりの小田原でミュージアム構想 市民有志が署名活動開始

小田原市民功労賞を受賞した富野由悠季監督(2022年2月撮影)

 人気アニメ「機動戦士ガンダム」の生みの親でもある富野由悠季監督の生まれ故郷の小田原市に「富野由悠季ミュージアム」開設を目指して市民有志が立ち上がった。“ガンダムの故郷”を観光や経済の起爆剤としようと商業関係者らが中心となって今月から署名活動を開始。富野氏は「小田原嫌い」を公言し、長らく故郷とは疎遠の関係が続いていたが、呼びかけ人となったファンは「ボタンのかけ違いを直し、オール小田原の声として富野監督に届けたい」と訴える。

 7月に有志でつくる「富野由悠季氏の功績を称え世界へ発信する市民の会」が発足。ミュージアム開設やモニュメント制作、名誉市民への推薦などを求め、年内に数千人分の署名を目標に活動を展開している。署名簿を市に提出した上で官民一体となった小田原の声で富野氏を説得する構想だ。

 ミュージアムはガンダムだけではなく、アニメ製作の第一線で長年活躍した富野氏の創作活動にまつわる資料も展示する予定。「ハコモノ行政」を嫌う富野氏に配慮し、既存の公共施設の活用を模索する。

 ミュージアム構想を巡っては2022年6月の市議会で市幹部が「(富野記念館を)建てるなら小田原が有力候補」と前向きな姿勢を示したこともあるが、現時点で具体的な計画はない。呼びかけ人である同会の片桐岳彦会長(58)は「小田原が輩出した文化人として顕彰したい。アジアには熱狂的なファンもおり、観光や経済需要でも大きな力にもなる」と強調する。

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