スーパー戦隊シリーズの原点「秘密戦隊ゴレンジャー」仮面ライダーに続くヒーロー登場!  石森章太郎の大傑作!5人の “5色” の戦士が悪と戦うゴレンジャーを覚えているか?

1975年にスタートしたスーパー戦隊シリーズ、「秘密戦隊ゴレンジャー」

昭和の世に生み出され、令和となった今日も確固たる地位を維持している特撮ヒーローシリーズといえば、1966年スタートのウルトラマン、1971年スタートの仮面ライダーに続き、1975年にスタートした “” スーパー戦隊シリーズ” である。

その第1作目、『秘密戦隊ゴレンジャー』が登場して以来今日に至るまで、ごく一時期を除きほぼ途切れ目なくシリーズは制作され続け、2023年現在放送中の『王様戦隊キングオージャー』で実に47作目! そして再来年の2025年には、シリーズ誕生から堂々50周年を迎えることになる。

このような長期に亘るシリーズとなったのは、その時代時代に作品に携わった方々の才能と不断の努力の賜物に他ならないが、ウルトラマン、仮面ライダー共々、その第1作目の存在の偉大さは揺るぎないものがある。

第1作目から今も不変! 5人の “5色” の戦士が悪と戦うという基本路線

その歴史のうちにはメンバー4人による『ジャッカー電撃隊』、3人の『太陽戦隊サンバルカン』、そして9人の『宇宙戦隊キュウレンジャー』なども存在したが、やはり5人による “5色” の戦士が悪と戦うという基本路線は第1作目から今も不変である。

 ・アカ → 熱血漢のリーダー
 ・アオ → 斜に構えたクールガイ
 ・キ  → コメディリリーフ
 ・モモ → 紅一点
 ・ミド → まだ青臭さの残る青年

『秘密戦隊ゴレンジャー』における、その後のシリーズの基本形となったキャラ配置は、先行したタツノコプロ制作のアニメ作品『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年)を彷彿とさせるところもあるが、むしろ同じ石森章太郎先生原作による集団ヒーロー漫画『サイボーグ009』に原点がある、とすべきであろう。

そう、この『ゴレンジャー』は、幾多の傑作を世に出した “漫画の王様” にして、『仮面ライダー』『人造人間キカイダー』『がんばれ!! ロボコン』といった多くの実写テレビ作品を生み出した石森章太郎先生の原作による。

スーパー戦隊シリーズで “原作・石森章太郎” とクレジットされているのは2作目の『ジャッカー電撃隊』までだが、以降の作品にも “ゴレンジャー要素” が通底していることは疑いのない事実である。だからこそ、石森先生は偉大なのだ。

原作者 石森章太郎が手放しに “自画自讃” して憚らない成功作

石森先生は実写化作品の大半を放送に合わせ雑誌で漫画を連載されているが、『ゴレンジャー』に関しては次のように記されている。

コレはワタシの、殆ど最後のと言っていいライヴ・アクション・ヒーローものの “傑作” (自画自讃はどうか、とも思うが)である。テレビ作品は “シンプル・イズ・ベスト” をモットーとしているが、これはそこに見事にハマッタ、のであった。 cite: メディアファクトリー刊「石ノ森萬画館」より
つまり、原作者の立場で手放しに “自画自讃” して憚らないほどにこのテレビ作品は成功作だったのである。その成功の最大の要因は前述の通り、テレビ画面狭しと活躍したのが、それまでにはなかったアカ・アオ・キ・モモ・ミドの色鮮やかな五色のヒーローだったことによる。

一方の漫画版は、巻頭カラーでもない限りは当然のことながら “単色刷り” であり、石森先生の画力をもってしてもテレビ版の鮮やかさには及ばなかった。

その後のシリーズの展開を予測していたかのようなゴレンジャーごっこ

ちなみに石森先生の漫画版『秘密戦隊ゴレンジャー』は当初、スパイアクション物を思わせるシリアスな作品であったが、ある時突如、『ひみつ戦隊ゴレンジャーごっこ』として、セルフパロディともいえるスラップスティックコメディ漫画へと変貌した。

思えばテレビ版の『ゴレンジャー』も、第1話の導入部こそ、彼らが属する国際秘密防衛機構「イーグル」が悪の組織・黒十字軍の急襲により全滅する、というシリアスなものだったが、その後は深刻さを引きずることなく、ギャグメーカー・キレンジャーらの存在によりコメディ要素が強い作品となっていた。

のちのスーパー戦隊シリーズの中には、ワタシのような頭の固いシリアス志向の人間にとっては、「ふざけとるんかい!!」と言いたくなるような作品もあったが、その明朗さ・楽しさがあったればこそ、どの時代の子どもたちにも愛され続けるシリーズとなった気がする。

そういう意味では『ゴレンジャーごっこ』は正に “ふざけていた” わけで、その後のシリーズの展開を予測していたかのような石森先生の先見の明には、今更ながら驚愕の念を禁じ得ない。

同じ石森作品でも、心ならずも改造人間となった悲しみを胸に秘めながら悪と戦う『仮面ライダー』と異なり、『ゴレンジャー』にはそのビジュアル通りの突き抜けた明るさがあった。それが先行の2大ヒーロー、ウルトラマンと仮面ライダーにはなかった新鮮味といえた。

特ソン史に残るオープニング曲「進め!ゴレンジャー」

そして番組同様にその主題歌もまた、特ソン史に残る名曲となった。そのオープニング曲は、作詞:石森章太郎、作曲:渡辺宙明というゴールデンコンビによる「進め!ゴレンジャー」。まずはその1番の歌詞をご覧いただきたい。    真っ赤な太陽 仮面に受けて
 願いはひとつ 青い空
 黄色い砂塵 渦巻く街に
 ピンクの頬の 五人の戦士
 吹かせ緑の明日の風を(ゴー ゴゴー)
 五つの力を一つに合わせて
 叫べ勝利の おたけびを
 秘密戦隊ゴレンジャー

つまり1番から3番までこの調子で “五色” に言及しているのである!

アカとアオは全ていい感じにまとまっているが、キとモモはかなりご苦労の跡が見られる…(「ピンクの星」とか「黄色い夕やみ」とか…)

しかし石森先生は悶々と頭を悩ませて詞を書かれたかと言えば全くそんなことはなかったようで、番組プロデューサーの吉川進氏によると、主題歌の作詩は、東映近くの喫茶店で(石森)先生にお願いしたんです。その時に5人の色を入れてほしいと申しました。先生はその場で実際の詩をさらさらと書かれるんですよ(笑)。1行にちゃんと色を1色ずつ入れて。正に天才、石ノ森章太郎。cite: 講談社刊「スーパー戦隊Official Mook 20世紀 1975 秘密戦隊ゴレンジャー」より
しかも色をただ羅列しているだけではなく、「五つの力を一つに合わせて」という、正に作品のメインテーマといえる詞で見事にキメている。改めて私たちは石森先生の前にひれ伏すのみである。

余談ながら番組の最終回では、メンバー5人の名前(海城剛、新命明、大岩大太、ペギー松山、明日香健二)の1文字目を並べると… という驚愕の事実が明らかになり、それが黒十字軍総統を倒すヒントになっていたと判る! もう参りましたとひれ伏すのみである!

その「進め!ゴレンジャー」の詞に付けられた宙明先生のメロディーも実に力強く明朗で、ささきいさおさん、堀江美都子さん、そしてコロムビアゆりかご会という最強の布陣によるこの曲は、宙明先生のアニソン・特ソンの中でも『人造人間キカイダー』『マジンガーZ』『宇宙刑事ギャバン』等と並ぶ不朽の名曲となった。

さらに、「バンバラ バンバンバン…」のスキャットでお馴染み、ささきいさおさんとこおろぎ‘73の皆さんによるエンディング曲「秘密戦隊ゴレンジャー」(作詞:八手三郎、作曲:渡辺宙明)にも触れたかったが、残念ながら紙数が尽きた。

ここはひとつ、皆さんの脳内で再生していただき、スーパー戦隊シリーズの偉大なる第1作目、『秘密戦隊ゴレンジャー』に思いを馳せていただきたい。

♪バンバラバンバンバン!

カタリベ: 使徒メルヘン

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